糖尿病 Q&A

運動

  • Q. 効果的なウォーキングはどのように行えばいいですか?
    A. ウォーキングを運動療法として行うには、長時間ダラダラではなく、短時間しっかりと小まめに歩くことが重要です。そのためには、筋力や筋柔軟性も身に付けるレジスタンス運動と組み合わせて行うと効果的となります。
  • Q. なんで1万歩なのですか?
    A. この1万歩は、1日の生活の活動における歩数なども含めた身体活動としての総歩数のことです。日本人の平均食事摂取エネルギー量は約1890kcal/日であり、身体活動で消費するエネルギー量は、その約15%程度です。また普通歩行では約30歩が1kcalに相当するので、1890kcal×15%=約300kcalより300kcal×30歩=9000歩/日、すなわち約1万歩となります。但し、目標とする歩数には個人差があるので、主治医や運動療法士と相談しましょう。
  • Q. 毎日行っている犬の散歩は運動じゃないのですか?
    A. 運動不足の4文字は「足」を使って身体を「動かしたり」「運んだり」を「不(しない)」とも読めます。この運動不足が糖を使いにくい身体へと導きます。したがって、犬の散歩も運動不足を解消する立派な運動の1つと言えます。但し、運動強度は不足することもあるので積極的なウォーキングも行うようにしましょう。
  • Q. 運動はどんなタイミングで行うのが血糖コントロールにいいのですか?
    A. 理想は食事後の時間帯です。食事を食べてから通常約30分後に血糖値が上昇し始め1~1.5時間後にピークとなります。その血糖はインスリンによって筋肉にされたり脂肪に蓄積されたりします。したがって、食後30分~1時間を目安に運動すると筋肉への糖の取り込みが高まり食後高血糖の抑制、インスリンの節約、肥満防止が図れます。
  • Q. 有酸素運動ってどんな運動で、どのくらい行えばいいのですか?
    A. 有酸素運動とは、読んで字の如く酸素を取り入れながらリズミカルな呼吸で行う全身運動です。この運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミングなどの種目があります。その中でもウォーキングは、身近でいつでもどこでもひとりでも行える代表的な有酸素運動であり、1回20~40分間が目安です。
  • Q. 最近レジスタンス運動ってよく聞きますが、どんな運動ですか?
    A. レジスタンス運動とは、いわゆる「筋力トレーニング」で筋肉に負荷をかけ、筋力や筋肉量の増加を目的に行う運動です。その運動の方法には、①自分の体重を利用した自重負荷トレーニング、②ダンベルやゴムチューブ等を使用したフリーウェイトトレーニング、③マシンを使用したトレーニングがあります。
  • Q. 運動した翌朝によく脚がつりますが、運動のやり過ぎですか?
    A. 筋肉は一定の長さから“縮んで戻る”の繰り返しで力を発揮し関節を動かします。運動で筋肉は強くなりますが、運動が過度になると筋肉の縮む力が強くなり、もとの長さに戻りにくくなります。この縮んだ状態がつりやすい筋肉となってしまうので、その予防には運動後のケアとしてストレッチングが効果的です(こちらを参照)
  • Q. ラジオ体操は運動療法ですか?
    A. ラジオ体操は、約90年の歴史ある体操です。ある調査によるとラジオ体操を継続している高齢者の体力年齢は若いとの報告があります。また、血糖値と大血管障害の予防、認知症の予防、寝たきり予防などにもよい効果があることから立派な運動療法の1つといえます。
  • Q. 運動中の低血糖を防ぐには、どんな注意が必要ですか?
    A. 運動は空腹時よりも、食後に行うことが望ましいとされています。またインスリン分泌促進薬やインスリン治療を行っている場合は、その作用ピークやインスリン注射部位に対する注意が必要です。また、運動直前に血糖を高めるような食べ物は、むしろ運動で低血糖を引き起こす呼び水になることがあるので注意しましょう。
  • Q. 歩数計や活動量計は運動療法として、どのように活用すればよいですか?
    A. 活用には2つの方法があります。①ウォーキングなどの運動時に装着する、②起床後から就寝前まで装着する。①は運動の目標達成状況を確認することに有用です。②は近年運動療法の主流となっている生活活動と、運動を組み合わせた身体活動量を計測することに有用です。なお、歩数計は歩数のみですが、活動量計は運動によるエネルギー消費量(kcal)なども計測し、食事療法と兼ね合わせて活用できます。
  • Q. ストレッチングは運動療法になりますか?
    A. ストレッチングは、運動導入時や運動継続に欠かせない要素の運動です。効果には、①筋肉内の疲労物質を除去して疲労回復を促す、②新陳代謝を高める、③筋肉や関節の柔軟性の向上、④怪我や障害から体を守る、⑤精神的な緊張がほぐれ心身のリラックスができる、⑥筋肉が糖を取り込むのを促進、⑦コラーゲンの糖化防止、など糖尿病の運動療法における最重要な運動であるとも言えます。
  • Q. 薬物療法と運動について気をつけることは何ですか?
    A. 糖尿病治療薬であるインスリン分泌促進薬を使用している場合は、低血糖を生じるおそれがあるので、その作用ピーク時間に注意して行うことが重要です。したがって、薬の種類とその作用については、主治医、薬剤師に確認しましょう。また、その他の薬についても運動による注意が必要か確認しておくことが、安心して運動に取り組める条件でもあります。
  • Q. インスリン治療と運動について気をつけることは何ですか?
    A. インスリンを運動でよく使う大腿部に注射すると、吸収が促されて低血糖につながるため、運動前は腹部に打つようにしましょう。また、運動中・運動直後のみならず、十数時間経って低血糖が起こることもあります。まれなことですが、遅発性の低血糖があることも知識として知っておきましょう。
  • Q. 運動でなかなか体重は減りませんが血糖値が良くなっているのはなぜですか?
    A. 運動で脂肪が減り筋肉が付きはじめると、体重の減少は顕著に現れないこともあります。しかし、脂肪が減ることでインスリン抵抗性が改善され筋肉での糖利用が増えるので血糖コントロールが良くなるのです。
  • Q. ウォーキングは30分以上続けないと運動にならないのですか?
    A. ウォーキングはどんな強度で行うかが重要で、必ずしも30分以上でないと効果がないわけではありません。「ややきつい~ちょうど良い」程度のウォーキングを1回数分間小まめに行い、合計が20分間程度でも血糖改善の効果が得られます。
  • Q. 運動を始めて2週間経ちましたが続けられるか不安です。何か継続する秘訣はありますか?
    A. 2週間を達成できれば、運動の効果が身に着く下地ができたことになります。その運動を1年後も継続できるか考えてみましょう。できると確信されれば自信をもって続けましょう。もし続けられるか不安であれば、辛いきついなどの運動は見直しが必要です。また、筋肉痛など感じられるようであればストレッチングをしっかり行うことも継続の秘訣です。

カテゴリ別にくわしく知る

糖尿病支援の相談室糖尿病支援の相談室

糖尿病療養支援におけるご質問を投稿いただき、各専門家、他の会員様からの回答を募集することができます。

< 総論に戻る

糖尿病支援の相談室