糖尿病 Q&A

総論

  • Q. 糖尿病ってどんな病気ですか?
    A. 血糖値が高くなる病気です。成因によりいくつかのタイプに分けられますが、高血糖状態が長く続くと全身の血管が障害を受けるようになり、様々な合併症を起こすようになります。最近の報告では、成人の5人に1人は糖尿病もしくは予備軍とされています。
  • Q. 糖尿病にはいくつか種類があると聞きました。違いは何ですか?
    A. ほとんどの方は「1型糖尿病」か「2型糖尿病」に分けられます。「1型」は自己免疫の異常などにより膵臓からのインスリン分泌が極度に低下するタイプで、「2型」はインスリンの分泌低下と効きが悪くなる抵抗性が関与し、その発症には遺伝的背景や生活習慣の乱れが影響します。わが国では「2型」の割合が90%以上で、「1型」は10%以下と言われています。
  • Q. 糖尿病予備軍(境界型)と言われました。どうしたらよいですか?
    A. 糖尿病には至っていませんが、正常とも言えない状態を「境界型」と言います。通常は糖尿病に移行しやすい状態ですので、「まだ糖尿病にはなっていないから大丈夫」と放っておくのは危険です。そればかりか、心筋梗塞など動脈硬化性疾患の発症率は糖尿病の方と大差ないということがわかってきましたので、早期から管理して行くことが重要です。
  • Q. 糖尿病はどのように診断されるのですか? 教えて下さい。
    A. 糖尿病の診断は主に血液検査で行われます。通常は健康診断や外来受診時などの採血で、空腹で行った場合は血糖値 126mg/dl以上、食後に行った場合は血糖値 200mg/dl以上のいずれかを示し、同時に測定した HbA1c値が 6.5%以上の場合「糖尿病」と診断されます。
  • Q. 糖尿病と診断されましたが、症状は全くありません。どうしてですか?
    A. のどの渇きや尿量の増加、さらには激しい倦怠感などが糖尿病の症状としてあげられますが、これらはかなりの高血糖(400~500mg/dlぐらい)状態にならないと現れて来ません。血糖値が多少高い程度(200mg/dl前後)ではこれらの症状は現れず、ほとんどの方が無症状で経過してしまいます。症状がなくても合併症が進行しますので、注意しましょう。
  • Q. 糖尿病は余病(合併症)が怖いと聞きました。どんな注意が必要ですか?
    A. 糖尿病に特有な合併症として「末梢神経障害」「網膜症」「腎症」があり、「三大合併症」と呼ばれています。また、動脈硬化も進みやすく、狭心症や心筋梗塞、あるいは脳梗塞などにも注意が必要です。さらに肺炎や膀胱炎などの感染症、足の壊疽、骨がもろくなるなど全身の病気と関連しています。これらを防ぐために一番大事なのは血糖をコントロールすることで、食後の高血糖や低血糖を防ぎ、血糖の変動をおさえることが重要です。
  • Q. 糖尿病の治療法にはどのようなものがありますか?
    A. 糖尿病治療の目標は合併症の発症、進展を阻止し、健康な人と変わらない日常生活を送れるようにするというものです。そのためには血糖をコントロールして行くことが重要となりますが、血糖だけでなく、体重や血圧、血中脂質を良好に保つことも必要となります。これらに対する基本的な治療が「食事療法」と「運動療法」であり、経過によっては内服薬やインスリンなどの注射が必要となる場合があります。
  • Q. 糖尿病は認知症と関係があると聞きました。本当ですか?
    A. 認知症はアルツハイマー型認知症が有名ですが、糖尿病の患者さんの場合、脳血管障害に基づく脳血管型認知症も多いのが特徴です。いずれにせよ糖尿病のない高齢者と比べると、その発症率は2~4倍ほど高いというデータがありますので、早い時期から高血糖や低血糖を防ぎ、血糖値をコントロールして行くことが重要です。
  • Q. 最近、血糖スパイクという言葉をよく耳にしますが、何のことですか?
    A. 空腹時は問題ないのに食事を食べたすぐ後の血糖値が急上昇し、やがてまた正常に戻る。これを「血糖スパイク」と呼びます。この「血糖スパイク」を知らずに放置すると、体内の重要な血管が傷つけられ、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるばかりか、認知症や癌のリスクが増えることもわかってきました。「血糖スパイク」の存在は種々の検査で確認できますので、気になる方は一度チェックを受けてみましょう。
  • Q. 糖尿病と癌は関係があるのですか?
    A. 糖尿病患者さんは、糖尿病ではない人と比べて、約1.2倍癌にかかりやすくなると言われています。特に、膵臓癌(約1.9倍)、肝臓癌(約2.0倍)、大腸癌(約1.4倍)が多いとされています。メカニズムとしては、インスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)と高インスリン血症(インスリンが多すぎる状態)が関係しています。
  • Q. 1型糖尿病とは何ですか?
    A. 1型糖尿病は、主に自己免疫的機序により膵臓のβ細胞が破壊されることにより発症します。インスリンの分泌が極度に低下するタイプで、多くの場合で生きていくためにインスリン注射が必要となります。
  • Q. 自己免疫とは何ですか?
    A. 体の外から入ってくる細菌やウイルスなどを排除し、体を守るシステムを免疫と言います。免疫によって、体の中にできた異物(がん細胞など)も同様に排除します。ところが、何らかの理由で自分自身の正常な細胞に対して免疫が働いてしまうことがあり、これを自己免疫と言います。自己免疫が関係する病気は、1型糖尿病、関節リウマチ、バセドウ病など多岐にわたります。
  • Q. 2型糖尿病とは何ですか?
    A. 2型糖尿病では、発症に環境因子(生活習慣)と遺伝因子(体質)が関係します。インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の両者の異常がみられますが、どちらの異常がどの程度影響するのかは患者さんによって異なります。
  • Q. 妊娠糖尿病とは何ですか?
    A. 妊娠中は胎盤から分泌されるホルモン(hPLやhCGなど)によりインスリン抵抗性が高まります。このために生じた糖代謝異常を妊娠糖尿病と言います。ほとんどの場合、出産後に血糖は正常に戻りますが、将来的に2型糖尿病になりやすいことが指摘されており、注意が必要です。
  • Q. インスリンとは何ですか?
    A. インスリンは膵臓のβ(ベータ)細胞で作られるホルモンです。全身のほとんどの細胞に働き、ブドウ糖を細胞の中に取り込ませます。血糖を上げるホルモンは複数ありますが、インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンです。
  • Q. ブドウ糖負荷試験とは何ですか?
    A. 75gのブドウ糖が入った液体を飲んで、血糖値の変化をみる検査です。通常は、ブドウ糖入りの溶液を飲む前(空腹時)と、飲んでから1時間後、2時間後の血糖を調べます。飲んでから30分後や3時間後などの血糖を調べる事もあります。2時間後の血糖が200mg/dl以上だと糖尿病の可能性が高いと言えます。
  • Q. 糖尿病網膜症とは、どのような病気ですか?
    A. 慢性的な高血糖が原因で眼の奥にある網膜が障害を受け、視力低下などの症状が出てくる病気です。進行すると眼底出血を来たし、失明に至る場合もありますので、定期的に眼科を受診し、チェックを受けることが重要です。
  • Q. 糖尿病腎症とは、どのような病気ですか?
    A. 慢性的な高血糖が原因で腎臓の機能が低下してくる病気です。初期には特に症状は無く、尿に微量の蛋白が出る程度ですが、進行してくると全身倦怠感、食欲不振、むくみなど尿毒症の症状が出るようになります。最終的には人工透析が必要となりますが、近年、透析導入の原因疾患として糖尿病が第1位となっています。
  • Q. 糖尿病神経障害とは、どのような病気ですか?
    A. 網膜症、腎症と並び高血糖の持続により起こる糖尿病三大合併症のひとつです。個人差はありますが、足や手のしびれ・痛み、感覚が鈍くなる、立ちくらみ、胃腸障害、発汗異常、排尿異常、勃起障害など様々な形の症状がみられるようになります。網膜症や腎症に比べて比較的早い段階からみられるのも特徴です。

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