ブックタイトル会報2025年4月
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会報2025年4月
第262号令和7年4月発行Page 3第59回糖尿病学の進歩令和7年1月24日(金)~25日(土)那覇文化芸術劇場なはーと他[当法人会員]多摩センタークリニックみらい岡崎太一[医師]令和7年1月24日(金)・25日(土)の2日間、沖縄県那覇市にて『第59回糖尿病学の進歩』が開催されました。糖尿病学の進歩が沖縄県で開催されるのは初めてのことで、楽しみにされていた方は多いのではないでしょうか。会場は那覇文化芸術劇場なはーと、ホテルコレクティブ、ホテルJALシティ那覇、那覇市ぶんかテンプス館、桜坂劇場の5か所でした。天気は曇り時々雨といったあいにくの空模様、久しぶりの革靴で移動が億劫だった私はほとんどメイン会場のなはーとに籠って講演を拝聴していました。さて、本会のテーマは「100年のライフコースを俯瞰する糖尿病診療」、それぞれのライフステージに応じた糖尿病治療の在り方を学んで参りました。今やインスリンポンプの進歩は目覚ましく、AID療法の最新型であるAdvanced Hybrid Closed Loop(AHCL)は本会でも注目の的でした。CGMに応じた基礎インスリンの自動化はもちろん搭載されたアルゴリズムである程度の追加インスリンも自動化され、利用者のポンプ対応時間は大幅に減り、ずいぶんとQOLが向上しています。一方で、高額な費用や皮膚トラブルなどの問題で装着できない患者さんとの間に治療格差が生じていると、兵庫医科大学医学部の楠宜樹先生は述べられておりました。加えて、このデバイスの導入にかかる膨大な時間を割くことができる施設が限られていることや、世代間のデジタル格差などもこの治療格差の開きを助長しているようです。さて、本邦の高齢化に伴い益々重要になっている認知症に話を移したいと思います。関心が高い割にいまだ有効な治療法のない難しい問題の一つです。糖尿病があると罹患率が約1.4倍上昇することが知られているアルツハイマー型認知症(AD)ですが、レカネマブなどの新薬の登場により治療の革新が期待されました。しかし、実際は認知症の進行を30%程遅らせるに留まります。天の川病院の福田拓也先生は「この抗アミロイド抗体薬は脳内アミロイドβ(Aβ)減少効果を示した初の薬剤ですが、それでも尚、認知症治療効果が不十分であることから、Aβ以外の残余リスクがある」と述べられておりました。特に注目していたのが、脂質酸化によって生じるアルデヒド類の4-Hydroxynonenal(4-HNE)で、これはミトコンドリア障害を惹起して酸化ストレスを増大し、Aβプロトフィル形成を助長して神経毒性を発揮する物質です。この物質の除去機構で重要とされているのがアポリポ蛋白Eと2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)です。特に注目されていたのがALDH2で、これには野生型アレルのALDH2*1と変異型のALDH2*2があり、不活性型のALDH2*2を有するといわゆるフラッシャーでアルコールに弱い体質となります。ALDH2はアルデヒド類である4-HNEの除去にも関与し、その活性低下は4-HNEの蓄積を促すようです。小規模なメタ解析のみですが、近年GLP-1RAのAD予防効果が期待されてきており、この機序としては前述の酸化ストレスの低減が主体であると福田先生は述べられておりました。飲酒で赤ら顔になるような糖尿病患者さんには早めに禁酒を促していくことが、認知症予防の観点から重要であることは間違いなさそうです。お酒の美味しい沖縄県で少しばかり酔いの醒めるような興味深いご講演でした。読んで単位を獲得しよう答え3,4下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります)解説1.×:スティグマは特定の属性に対して刻まれる「負の烙印」という意味であり、糖尿病のみにみられる問題ではない。2.×:自尊心の低下に関連する。実際に医療者に「すみません」と誤った経験があったり、スティグマへの恐れから宴会に行くのをやめたりする行動が、セルフスティグマに分類される。3.〇4.〇5.×:「スティグマを解消し、個人の権利を守り社会的地位を回復させる活動をアドボカシー(権利擁護)活動」という。アドヒアランスとは、「患者さん自身が治療方法を理解・納得し、積極的に治療に参加する」ことをいう。臨床糖尿病支援ネットワーク