ブックタイトル会報2025年3月
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会報2025年3月
第261号令和7年3月発行Page 3第28回日本病態栄養学会学術集会令和7年1月17日(金)~19日(日)国立京都国際会館[当法人会員]公立昭和病院村田里佳[管理栄養士]令和7年1月17日(金)~19日(日)にかけて、国立京都国際会館にて開催された「第28回日本病態栄養学会年次学術集会」に参加しました。今回のテーマは「病態栄養学の深化と広がり」―健康福寿社会の実現をめざして―でした。今回の学会では、高齢化社会における栄養管理の重要性が多くのセッションで取り上げられ、「高齢者」「低栄養」といったキーワードが頻繁に聞かれました。以下に、学会で得た重要な知見や学びを共有します。1.広い視点でのアセスメント能力の重要性高齢者の栄養状態を評価する際には、検査データや体重変化と合わせて、ADL、生活背景、社会的サポート体制など多角的な視点でのアセスメントが求められることを改めて実感しました。今後取り入れていきたいと感じたことは、患者の動作の観察をアセスメントに活用することです。例えば栄養相談室へ患者を誘導する際には、椅子からの立ち上がり動作を確認、体重測定の際には、重心移動の安定感、栄養相談室までの移動の際には歩行速度などをアセスメントの一環として取り入れることは、実践的な視点であると感じました。2.多職種連携の重要性サルコペニアや筋力低下リスクがある患者の栄養管理について、管理栄養士が医師と連携し、薬剤調整や栄養プランの立案を行う必要性が強調されていました。具体的には、SGLT2阻害薬を内服する患者の食欲低下や筋力低下リスクに対して、早期にチームで介入する重要性を再確認しました。3.People-Centered Careの拡がり糖尿病の支援では以前より重要視されてきた考え方ですが、患者個々の価値観を尊重しつつ、患者主体の支援が、他の領域でも浸透しつつあることを実感しました。4.AIの活用と限界アプリ体験会では、性別、年齢、検査データを入力することで、12カ月後の血糖上昇リスクや低血糖発生リスク、腎機能ステージを予測できるツールを活用した症例検討会が開催されました。こうしたAIツールは患者支援の強力な補助となりますが、患者の気持ちに寄り添い、柔軟な対応を行うためには、やはり人間の関与が不可欠であることを痛感しました。今後の実践への活用?患者個々に合わせた療養指導の深化広い視点でのアセスメントを日々の実践に取り入れ、患者の背景や動作、生活環境に応じた支援を心がけたいと思いました。?多職種連携の推進医師や看護師、薬剤師との連携を強化し、チーム医療の一員として積極的に役割を果たしていきたいです。?AIツールの活用AIを活用した新しい支援方法を導入しつつ、人間らしい温かみのある支援を両立させること大切にしていきたいと感じました。おわりに今回の学会は、現地で多くの医師・管理栄養士と交流する貴重な機会となり、新たな視点や知識を得ることができました。興味深いテーマが多く、すべてのセッションを聞くことはできませんでしたが、オンデマンド配信を活用しながらさらに学びを深めたいと考えています。これからも患者一人ひとりに寄り添い、質の高い療養支援に取り組んでまいりたいと思います。読んで単位を獲得しよう答え3,4下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説3:×イメグリミン:グルコース濃度依存的なインスリン分泌作用と、インスリン抵抗性改善作用により血糖降下作用を示し、ミトコンドリアを介した作用が想定されている。副作用として胃腸障害(悪心・下痢・便秘など)があり、ビグアナイド薬との併用で胃腸障害が多くなる傾向にあり留意する。4:×SGLT2阻害薬:近位尿細管で再吸収されるブドウ糖90%はSGLT2によるもので、近位尿細管に発現するSGLT2を阻害しブドウ糖の再吸収を抑制、尿からブドウ糖を体外に排泄し血糖を低下させる。このため血糖値が正常でもケトアシドーシス(正常血糖ケトアシドーシス)が起こりうるので、その際は速やかに対処することが重要である。臨床糖尿病支援ネットワーク