ブックタイトル会報2023年8月
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会報2023年8月
Page 2第242号令和5年8月発行第66回日本糖尿病学会年次学術集会令和5年5月11日(木)~13日(土)城山ホテル鹿児島他[当法人会員]東京都立多摩総合医療センター櫻田麻耶[医師]第66回日本糖尿病学会年次学術集会は、鹿児島で現地開催がメインとなりました。鹿児島県鹿児島市の3つの会場で行われました。鹿児島での学会ということで学会テーマは「糖尿病学維新-つなぐ医療拓く未来-」でした。当院からは口演8、シンポジウム、糖尿病劇場で発表・参加しました。私も5月11日(木)午前中に宝山ホールで「小児科から成人内科に移行した糖尿病症例の検討」として、当院の糖尿病移行期医療について発表いたしました。さすが鹿児島、5月なのにすでに暑くて半袖がちょうどよい季節でした。会場に行く途中、路面電車の駅に糖尿病学会総会の旗がかかっており、学会歓迎ムードが盛り上がっておりました。木曜日の初日にも関わらず、朝から会場受付・ランチョンセミナー受付も長蛇の列で、大盛況でした。こうやって実際に現地に行くことは、久しぶりにお会いできた先生方とお話しでき、また面識がない先生方に直接ご挨拶してご縁をつなげられる貴重な機会となりました。今回の学会では、小児・思春期糖尿病のセッションをメインに参加しました。私自身は成人内科医なので、周りが小児科の先生方ばかりでいろいろと学ばせていただきました。口演からいくつかご紹介させていただきます。18歳未満の1型糖尿病患者が登録された、小児インスリン治療研究会第5コホート研究の中間発表がありました。第1期(2018年3月,1155例)から第12期(2021年11月,554例)までのインスリン治療状況を検討されました。インスリン投与方法は,インスリンポンプが37.4%(CSIIが多く、SAPは15%程度)、血糖モニタリング方法は間欠的スキャン連続血糖モニターが47.8%と増加.。HbA1c<7.5%が3割、HbA1c9~10%が2割程度で、平均HbA1cは8.1%でCOVID-19流行期間も明らかな変化はなかったそうです。経時的に重症低血糖が減少しており、日本糖尿病学会の小児科対象の低血糖に関しての調査でも低血糖が起きやすいポイントは、夜間~早朝(学童期では日中の部活後に夜間おこしやすい)、CSII、摂食障害の合併などが挙げられ、ポンプトラブルへの教育が重要とのことでした。小学校3年生までの低年齢小児1型糖尿病患者におけるインスリンポンプ療法で、スマートガードオート機能の有効性を検討した発表では、学期中や長期休暇の学校生活にあわせて、また平日か休日にあわせてオートモード機能のon/offをすることで有効に活用できる事例が紹介されていました。また小児科におけるグルカゴン点鼻粉末製剤処方に関しての実態調査では、小児科は積極的に処方をしているが、高校生以上の患者さんに対して内科は処方例が少ないとのことでした。小児科は親に対してグルカゴン点鼻を指導でき、小児慢性特定疾病医療費助成制度が使えることが利点のようです。内科では、医療費助成制度が20歳までで終わってしまうこと、ライフサイクルの変化で一人暮らしを始めるとグルカゴン点鼻をお願いできるような家族や同居者がいないこともあり、外来でまたどのように患者さんにお話ししていくか考えるきっかけになりました。質疑応答も含めて、小児科診療での実際の工夫なども伺うことができ、これからの診療に生かせるとても有意義な時間でした。新型コロナウイルス感染症の流行以降、現地開催のみだけではなく、ライブ・オンデマンド開催とハイブリッド形式の学会開催が多くなりました。以前では時間が重なってしまえば聴講できなかった講演がオンデマンドで聴けるようになり、現地滞在が短くても帰り道にライブ配信を聞くことができるのはありがたいです。多様な参加が可能なハイブリッド開催は今後も続いてほしいと願っております。臨床糖尿病支援ネットワーク