ブックタイトル会報2022年12月

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概要

会報2022年12月

第234号令和4年12月発行Page 3第27回日本糖尿病教育・看護学会学術集会令和4年9月17日(土)~18日(日)大阪国際会議場/Web配信[当法人会員]八王子糖尿病内科クリニック臼井直子[看護師]日本糖尿病看護学術集会は、新型コロナの影響で一昨年、去年とWeb開催でしたが、今年は9月17日(土)~18日(日)初のハイブリッド方式で大阪にて開催されました。今年のテーマは「VUCAの時代に改めて問うセルフケア支援」です。私は今回Webで参加し、まず「VUCA」の意味を理解することから始めました。「VUCA」とは、「ブーカ」と読み「先行きが不透明で将来の予測が困難な状態」を表し、以下に示す予測困難な要因4つの言葉の頭文字をつなぎ合わせた造語であるということが解りました。元々は1990年代の米ソ冷戦時代に用いられていた軍事用語で、2010年代の変化が激しい世界情勢を表す言葉としてビジネスの世界にも引用されたそうです。V Volatility・・・変動性C Complexity・・・複雑性U Uncertainty・・・不確実性A Ambiguity・・・曖昧性予測困難で曖昧な時代?そう言われてみれば…新型コロナの流行、ロシアのウクライナ侵攻による経済変動、地球温暖化による気候変動や異常気象など、私達は様々な困難と向き合っており、今まさしく「VUCA」の時代に生きているのでしょう。新型コロナによって、糖尿病患者さんは糖尿病だけを意識して生活することが以前より困難な状況にあり、先生方も日常診療の変化を求められました。私が今回拝聴し印象に残ったのは、特別講演をされた数馬恵子先生の言葉の数々です。「今までも人類は様々な困難に合いつつも、乗り越えてきた経緯がある」という感染症と歴史を振り返って仰った言葉と、温故知新「古き時代に経験したことをもう一度見つめなおすことの必要性」を問いていたことでした。長年慢性看護に携わってきた先生は、糖尿病治療の歴史が医療法に則って医療保険制度、診療報酬制度の整備がされ、1981年自己注射指導料、1992年に在宅自己注射指導管理料が、患者のQOLの向上目的に制定された経緯をご説明していました。また、患者と向き合うということは、患者と相対するではなく、患者が抱えている困難や課題に一諸に向き合うことであり、その関心や気がかりを探ることが大切であると仰っていました。そして、性急にはっきりさせようとするのではなく、患者の心情に添って見守る看護行為が大事であると。私は約20年、故植木彬夫先生の診療につかせていただきました。今考えると恐らく押しつけがましい指導をしていた私に先生がよく仰っていた言葉があります。「患者さんは糖尿病のためだけに生きているわけではないからね、できないことを要求するばかりではだめだよ」「こちらが言ったことで少しでも患者さんが変わることがあったらそれは上手くいった証拠。患者さんの変化を待つことも大事だよ」と。患者さんのセルフケア支援については、看護師それぞれの言葉や表現があるかと思います。今回の講演で拝聴した内容と植木先生の言葉を思い出し、私は特に2つのことを改めて大切にしたいと考えています。1専門的な知識と技術を携え患者さんにそれらを正確に伝えること、2血糖マネジメントするだけではなく、糖尿病とともにその人らしく生きることができるよう、患者さんを長く支えていくことです。皆さんはセルフケア支援と聞き、何を思いどう表現するでしょうか?読んで単位を獲得しよう答え2,5下記の解説をよく読みましょう。(問題は2ページにあります。)解説1.〇糖尿病と診断された患者の心理は個々に異なるため、今の思いを聞き患者の心理状態に応じたアプローチが必要。2.×初めて診断された患者に合併症の正しい情報を伝えることは大切だが、どの程度受け入れられているか不明な段階で、初めから酷い合併症症例ばかりを提供することは、患者の恐怖心をあおり、今後の治療に悪影響を及ぼす可能性もある。3.〇患者本人が実行可能なことを共に考え、医療者からの一方的な押し付けにならないように配慮する。4.〇注射手技の獲得はスムーズだがその表情は暗い、と記載がある。患者の様子に気を配り、その心理状態に留意する必要がある。5.×体重は最終目標だけでなく当面の目標を立て、具体的に減量計画を設定する。患者本人が実行可能なことを共に考えながら、まずは3%の体重減量を目指し、極端な食事制限などを行わないよう、ゆっくり確実に減量できるよう指導する。臨床糖尿病支援ネットワーク