ブックタイトル会報2022年12月

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概要

会報2022年12月

第234号令和4年12月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です地域の底力[当法人理事]多摩北部医療センター藤田寛子[医師]「こちらでは1から始めないといけないのです。先生達の地域は本当に羨ましいですよね。」…先日、臨床にご尽力くださっている江戸川区のご高名な医師から、このようなお言葉をいただきました。この地域に根付いている糖尿病診療に対する姿勢…患者一人一人に向き合い傾聴し、支え、各部署の医療関係者がそれぞれ力を出し合って、自分達や患者の知識を増やしスキルを上げて、互いの笑顔を増やしてゆくculture*…ここにいたからこそ、当たり前のように、その活動や認識を共有できていたことに改めて気づかせていただいた、貴重な一言でした。(*culture:教養・洗練、精神文化、培養・栽培、修養など…培い耕して築かれる意味合いが、個人的には好きです。)今、糖尿病診療の世界は、機器の進歩により、一部限定があるものの血糖プロファイルが採血なしで見える化できるようになり、また、有用な薬剤も多数揃い、40年前に比べたら格段に良い血糖コントロールが実現可能で、また良好な予後を目指すことができるようになってきています。そして、臨床糖尿病支援ネットワークは、これらの進歩を先陣をきって取り入れ、勉強会や研究会で頻回に取り上げ、地域に普及するようにと、日々の活動を続けてきました。正直、企画が多すぎるのではないか?演者・担当者は負担ではないか?なども懸念されるほど目白押しの状態でしたが、みんなでちょっとずつ各自できる範囲で時間を作って力を尽くし、地道な活動が積み重ねられました。これには、故近藤甲斐夫先生や前代表理事の貴田岡正史先生をはじめとする先駆者の方々のご尽力と、賛同し協力した多くの皆様の並々ならぬ熱意があったと思います。もちろん「義理と人情」もあったことでしょう。ちょっと大変だけど○○先生に頼まれたら嫌と言えない…○○先生のところ今大変だよね、こっちも大変だけど、いつも助けてもらっているから、大事なことだし、ここはひとつ引き受けましょう!Etc…これもとても大切です。Sympathy*は、人間の活動の大きな原動力の一つです。(*sympathy:シンパシー・共感・同感・共鳴・人情など…個人的には「思いやり」と、使わせていただいていることが多いです。)論理的、科学的に正しくても、人を動かすにはそれだけでは成り立たない…。ん?これって日々私たちが直面していることと同じでは?患者さんにどうすれば、より良い生活習慣への改善について振り向いていただけるか?どうすれば実際に行動に移していただけるのか…そこに至るときに必要なことと根は同じですよね。地球温暖化で災害は絶えず、コロナ禍で生活環境も激変し、並行してウクライナなどで展開されている悲劇的戦禍や連日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射、COVID19対策による種々の制限、急速に進む円安などなど、市民の生活は経済的にも決して豊かとは言えず…。理不尽なことが次々と起こり人災・天災つづきで、将にカオスのような状況ですが、改めて糖尿病診療に焦点をあてて拝見すると、この地域に根付いている総合力の高さと人情の深さは、本当に有難いことだと思います。多職種にわたりその高さが培われ維持されてきたことが、とてつもない大きな力として、この地にあるのです。子供たちは今、どのような教育をうけ、心を育んでいるのでしょうか?IT化が進み、Z世代といわれる方々が社会の中枢に入ってくる時代になりました。協力の在り方も変わってゆくでしょう。実際、COVID19の感染拡大は、テレワークなどの新しい形態を半ば強制的に普及させました。東京一極集中を避けようと何十年にもわたって試みてきてできなかったのに、わずか2~3年で、首都圏にいなくても仕事ができるという認識が形成され地域への移住行動が進みました。一方で、働き方改革に逆行するように、時間制限のない自宅でのかくれ深夜労働が、働く世代の健康をむしばんでいる可能性も懸念されています。新代表理事をはじめ、新しい幹部は、熱意も行動力も本当にすばらしい方々です。これまでも、何度彼らに助けていただき、お世話になってきたことでしょう。我々は、いずれ、いつか土に戻ります。しかし、この地で耕され培われたcultureは根付き、残り、進化してゆきます。これからの時代、けっしてバラ色とは予想できませんが、新しい力が、一人一人の力を結集し、人類の未来を照らしてくれるでしょう。どうか、Next Stageに入った、皆さまのそして私たちの臨床糖尿病支援ネットワークが、これからも温かく発展してゆきますように。臨床糖尿病支援ネットワーク