ブックタイトル会報2022年11月

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概要

会報2022年11月

第233号令和4年11月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病専門医と非専門医の違いは?[当法人理事]那珂記念クリニック調進一郎[医師]臨床医学系の学会にはさまざまな専門医制度がある。「ボクは糖尿病専門医だ!」と威張りたいところだけれど、糖尿病専門医と非専門医の違いは何だろう。神奈川県保険医協会で全国の開業医にアンケート調査(505施設。対象2型糖尿病患者8070人)を行い、糖尿病専門医と非専門医の治療の違いを検討したことがある。その結果、インスリンを使っている患者はさすがに専門医のほうが多かった(第63回日本糖尿病学会にて発表)が、内服薬の使い方やHbA1cには専門医と非専門医で大きな違いは認めなかった(第62回日本糖尿病学会にて発表)。血糖コントロールや合併症の管理がむつかしい患者を専門医は非専門医から紹介を受け治療している事が差がなかった一因と推察できるが、専門医と非専門医で内服薬の使い方やHbA1cに大きな差がない事には、ちょっとビックリ(正直、がっかり?)した。最近はDPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬、更には注射薬であったGLP-1RAの内服薬が発売となり、低血糖や体重増加などの懸念が少なく使いやすい内服薬が治療の主流となっている。GLP-1RAやインスリンのデバイスも進歩し、導入の説明も簡便になってきた。インスリンやSU薬のように低血糖を気にしながら、細かい用量調整(専門医の腕の見せ所)を必要としない経口薬でも多くの糖尿病患者を治療できるというすばらしい時代になってきている。では、我々糖尿病専門医と非専門医の診療の違いは何だろう?ボクは、糖尿病療養指導士など糖尿病に詳しいコメディカルと一緒に患者さんを診ているか、否かではないかと思っている。『糖尿病診療にはチーム医療が大事!』。耳にタコができるほど繰り返されてきた鉄板フレーズだが、これを実践しているのが糖尿病専門医ではないだろうか。糖尿病診療の質は医師だけではなく、皆様、コメディカル達が決め手になっている。糖尿病専門医の仕事は薬を処方することだけではなく、より多くの糖尿病療養指導士などのコメディカルを育て、一緒に患者を診るシステムを作り、食事・運動療法を含めた総合的な治療を実践していくことである。糖尿病専門医の存在意義を上げるも下げるも皆様コメディカル次第。これからも“チーム医療”、がんばりましょう!読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。61歳、男性。15年前に2型糖尿病を指摘、強化インスリン療法で治療中。先月定年退職し、会社員時代は忙しくて出来なかった運動療法に取り組もうとはりきっている。運動歴は小・中学校で剣道。20年前から禁煙。単純網膜症あり、眼科に通院中。【身体所見】身長168 cm、体重71 kg。血圧153/86 mmHg、脈拍65/分。両側アキレス腱反射消失【検査所見】空腹時血糖値146 mg/dL、HbA1c 6.8 %、TG 306mg/dL、HDL-C 36mg/dL、LDL-C161mg/dL、Cre 1.46 mg/dL、eGFR 39.4 mL/min/1.73m2、尿ケトン体(-)この患者に対する対応・評価として誤っているのはどれか、2つ選べ。1.運動強度8METs程度の運動を提案する2.加速度計付歩数計の装着を指導する3.運動として下肢のストレッチングを指導する4.生活活動として重い荷物の運搬の反復を指導する5.運動に対する変化ステージは準備期である臨床糖尿病支援ネットワーク