ブックタイトル武居先生特別号

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概要

武居先生特別号

特別号令和4年8月発行Page 3武居先生を偲んでイムス三芳総合病院貴田岡正史近藤甲斐夫先生、植木彬夫先生と当法人の先達や仲間がお亡くなりになり、当法人の活動に長年従事してきた立場からも非常に寂しい思いを感じているさなかの訃報でした。武居先生にもご相談しながら行った当法人運営の新体制構築が一段落して、ある意味でほっとしているタイミングでもありました。一旦入院された後に、復帰の工程表ともいえる結果的には最終号となった「まだなまえはない」をメールで受けとった間もなくの突然の知らせに愕然とし、また武居先生の存在の大きさをあらためて実感した瞬間でした。故武居先生は1型糖尿病関連の活動では長年にわたり、唯一無二の存在でした。多くの方がこのことに関して思い出を語られると思いますので、私は当法人への武居先生のご貢献を中心に記憶をたどりたいと思います。武居先生は任意団体としての西東京臨床糖尿病研究会の立ち上げから主要メンバーとしてご活躍でした。近藤甲斐夫先生や伊藤眞一先生という歴代の代表世話人を支え、持ち前の温厚な性格で円滑な運営の要となり後進を育ててくださりました。2002年のNPO法人化の際は本法人の主たる事業である例会担当理事として、例会運営のシステム作りとその展開について多大な貢献をしていただきました。近藤甲斐夫先生の後任として監事にご就任してからは当法人の活動の監査役として活動の適正化に貢献され、一般社団法人に移行後も監事を引き続き務められました。今年度からの執行部一新とそれに伴う新体制構築に際してはよき相談役を務めていただきました。また、今年度からは顕彰委員会委員長として後進を温かい目で評価していただけると期待されておりました。最後までお世話になりましたこと深く感謝すると共にご冥福をお祈りいたします。武居先生の思いでかんの内科菅野一男1994年に私が武蔵野日赤に赴任してからしばらく、武居先生の存在は意識になかったのですが、いつの頃からともなく、糖尿病診療について少しずつ話をするようになりました。夜間低血糖の対応に困っていた時、武居先生が、寝る前に腹持ちのいい牛乳を飲ませるといいと教えてくれたことがありました。今にして思えば、当たり前の話ですが、牛乳はほぼ半分は炭水化物で、そこに脂質とタンパク質がバランスよく含まれているので、血糖の上昇が比較的穏やかで低血糖を防ぐにはもってこいの食品だとわかります。その当時はFGMもなく血糖変動についての情報がまだ乏しい時代でしたが、1型糖尿病の患者さんを多く診ていた武居先生から多くのことを教えてもらいながら、付き合いが深まっていきました。武居先生のところで治療していた、小児発症の糖尿病患者さんで、お子さんを生み育てている方たちが当院に来院していますが、この方たちは武居先生が、子供のころからしっかりと診療を続け、人生を伴走してきたのだと改めて感じています。武居先生の残していたパウチしたメモを、職員の方が持ってきてくれました。このメモを見ながら武居先生は子供たちと向き合っていたことがうかがわれます。そのメモは今、私の診察机の右の小物入れの中に入っていて、私も自戒を込めて、適宜確認しています。ならぬもの十訓1.忘れてはならぬもの「感謝」2.言ってはならぬもの「愚痴」3.曲げてはならぬもの「つむじ」4.起こしてはならぬもの「短気」5.叩いてはならぬもの「人の頭」6.失ってはならぬもの「信用」7.笑ってはならぬもの「人の落ち度」8.持ってはならぬもの「ねたみ」9.捨ててはならぬもの「義理人情」10.乗ってはならぬもの「口車」「智、仁、勇」臨床糖尿病支援ネットワーク