ブックタイトル会報2022年5月

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概要

会報2022年5月

第227号令和4年5月発行Page 3[前業務執行理事]かんの内科菅野一男そもそも西東京臨床糖尿病研究会(西東京)に入会したのは、私が武蔵野日赤に赴任してそれほど時間がたっていないころ、近藤甲斐夫先生、伊藤眞一先生からの勧めもあり、患者さんの立場に立った糖尿病診療を進めるにどうしたらよいかというヒントを得るためでした。当時、武蔵野日赤の内分泌代謝科の医師は私一人。円形の建物の中にある、旧マーガレット病棟で、管理栄養士や新人の看護師たちと一緒に糖尿病の勉強会を繰り返していたのが懐かしく思い出されます。医療連携、チーム医療という概念もまだ希薄でしたが、西東京の仲間と勉強会を重ねていく中で、病院内での診療体制の形が少しずつできていきました。最近10~20年の西東京の取り組みを俯瞰すると、いろんな意味で、規模・質の変化が見られたように感じます。各種研究会、勉強会が多様化し、糖尿病学会を中心とした学会活動にも、西東京としての参加が増えていきました。特に地域の中での勉強会の質の高さは目を見張ります。localからglobalへという表現がありますが、西東京の勉強会の中での議論を踏まえた、私たちの糖尿病診療はglobalにみても決して遜色のないものであると、貴田岡先生、藤井先生たちと一緒にフロリダでのADAに参加しての強い印象でした。糖尿病学会や各大学とは全く異なる様相の中で、糖尿病患者さんの不安を軽減し、患者さんの人生にいかにかかわっていけるかという視点で診療を進めることの重要性を確認するところにこそ西東京の存在意義を感じます。近藤甲斐夫先生からは患者さんには優しくしなければならないと、繰り返したたきこまれました。また日常診療の中で保険診療について困ったことが出現すると、すぐに伊藤眞一先生に電話で相談し即、解決の糸口をつかむことができました。西東京の中で私は、地域CDE部門、倫理審査委員会に業務執行理事として携わってきましたが、メンバーの皆さんの助けを借りて何とか進めてこられたと感じています。ここ数年は医療界が大きく変化しているところに、新型コロナの嵐が襲い掛かってきて財務状況が厳しくなり、貴田岡先生、植木先生と3人で対策に時間を割くことが多かったですが、そんな中で、植木先生を失ってしまいました。しかし、3人の深夜にわたっての話し合いの時間は、私にとって人生の核として残っています。特に以前から、世代交代論議も重ねていたが、うまく、優れた次世代に橋渡しができて、本当に良かったと感じているところです。これまで私を支えていただいた皆様に感謝しております。[前監事]伊藤内科小児科クリニック伊藤眞一当会設立当時僕たちは何を考えていたか―――次の世代に望むもの―――1986年、近藤甲斐夫先生と僕は当会(当時西東京臨床糖尿病研究会と名乗っていた)を立ち上げた。近藤甲斐夫先生は近藤琢磨先生のご尊父である。今は当たり前であるが、当時は糖尿病領域では日本ではほとんど知られていなかった[病診連携]をこの地域に立ち上げ、結果インスリン療法を開業医に普及させようと目論んだのである。先生方のご尽力で[西東京は病診連携では全国区]になった。しかし36年経過した現在、当初の目標が果たして達成されているであろうか。聞くところによると手技が極めて簡単な週一のGLP-Iでさえ非専門開業医ではあまり実施されていないという。今は天国にいらっしゃる近藤甲斐夫先生、植木彬夫先生も僕と同様な感想をお持ちになっているかもしれない。この地域に今よりもレベルの高い糖尿病が提供できるために当法人が益々活躍することを心から希望するものである。監事を交代するに当たり当法人へのお願いを申し上げた。※前監事である武居小児科医院の武居正郎もこの度退任となりますが、都合により挨拶文は割愛させていただきます。臨床糖尿病支援ネットワーク