ブックタイトル植木先生特別号
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植木先生特別号
Page 6特別号令和4年3月発行植木彬夫先生のご逝去を悼む東京医科大学八王子医療センター糖尿病・内分泌・代謝内科松下隆哉東京医科大学名誉教授であり、一般社団法人臨床糖尿病支援ネットワーク理事の植木彬夫先生がご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。2021年10月19日に福生で倒れられ、青梅市立総合病院に救急搬送され、集学的な治療を受けられ、2021年11月28日に永眠されました(享年74歳)。植木先生は1973年に東京医科大学を卒業され、1973年に東京医科大学内科学第三講座に入局された後、一貫して診療だけでなく、教育・研究に従事されました。1992年に東京医科大学八王子医療センターに部長として赴任され、1992年に助教授、2002年には東京医科大学内科学第三講座の教授に就任されています。東京医科大学八王子医療センターでは、糖尿病の臨床に力を注がれ、八王子地区の糖尿病医療連携の礎を築かれたのです。東京医科大学では、上高地診療所の運営や大学全体の情報管理でも重要な役割を担われました。1983年には前年に本格稼働した東京医科大学上高地診療所の所長代理、2003年に所長を務められ、その間も上高地診療所での診療も続けられていました。他にも、情報管理では2003年東京医科大学八王子医療センター情報部部長、2009年東京医科大学総合情報部部長を務められています。植木先生は、1986年に設立され、2002年からNPO法人化された西東京臨床糖尿病研究会、その後に続いた一般社団法人臨床糖尿病支援ネットワークでも中心的な役割を担われています。植木先生は、西東京地区の糖尿病医療連携やメディカル・スタッフの育成にも力を注がれ続けました。日本糖尿病学会でも長年、評議員として学会では精力的にご活躍され、2008年には日本糖尿病学会関東甲信越支部の幹事も務められています。植木先生は日々の診療において、患者中心の医療を実践され、東京医科大学、東京医科大学八王子医療センター、一般社団法人臨床糖尿病支援ネットワークに多大なる貢献をされました。お亡くなりになる当日もご診療に向かわれているところであったと聞いております。自分のことはさておき、目の前にいる患者さんのため、科のため、医療センターのため、臨床糖尿病支援ネットワークのため、大学のため、学会のため、地域のために何をなすべきかを常に考えておられたのです。植木先生は、2013年に東京医科大学を退官されても、糖尿病診療を現役時代と変わらない患者さんの診療を行われていました。2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行では、糖尿病患者さんに重症化リスクが高いため、診療にもさらにお力が入っていると感じたものです。この頃より、感染対策の一環として始まったWebでの講演会にも当初から出席され、糖尿病患者さんへの感染対策やワクチン接種の啓蒙についての重要性をお話しされ、常に糖尿病患者さん中心での診療態度に感銘を受けていました。西東京地区を中心とした活動の場である臨床糖尿病支援ネットワークでは、西東京臨床糖尿病研究会の頃より、メディカル・スタッフの育成に尽力されており、植木先生から教えを受け糖尿病診療の面白さ・やりがい・難しさを教えていた方は少なくないはずです。我々の東京医科大学八王子医療センターでも院内のメディカル・スタッフと共に、チーム医療を導入し、多くの糖尿病患者さんの診療を受け入れました。八王子地区では、糖尿病専門医が常勤でいる基幹病院は少ないため、実地医家の先生方とHADnet(Hachioji DM Network)を立ち上げ、八王子地区での糖尿病診療の向上に奮闘されました。私は東京医科大学八王子医療センターに2009年に赴任し、大野敦先生の元で勉強しましたので、直接ご指導いただく機会も多くはありませんでした。東京医科大学八王子医療センターを退官された後に非常勤で外来をされていた時にも、すぐ横の診察室から患者さんへの熱意に圧倒されたものです。さらに、臨床糖尿病支援ネットワークでの研究会は植木先生にお会いできる機会ですので、非常に楽しみにしておりました。糖尿病診療に対する志の高さには感銘を受けていました。メディカル・スタッフと共に、糖尿病患者さんの診療を行っていることや、いまだに保険診療での指導が認められていない運動療法を長年にわたり牽引されたことです。植木先生は東京医科大学八王子医療センターをはじめ、臨床糖尿病支援ネットワークでは、多くの人材を育成されてきました。私も植木先生の薫陶を受けた一人で、先生のご指導により3代目として、東京医科大学八王子医療センター糖尿病・内分泌・代謝内科を引き継ぎました。先生を師として教室運営や病院活動、学会活動などに携わってきましたが、先生の足元にも及びません。不肖の弟子としては今後もいろいろとご相談したいと思っていましたが、それも叶いません。残念です。少し早すぎます。最後になりましたが、先生のご貢献に感謝するとともに、先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。どうそ゛、ごゆっくりお休みください。臨床糖尿病支援ネットワーク