ブックタイトル会報2022年3月

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会報2022年3月

第225号令和4年3月発行Page 3第59回日本糖尿病学会関東甲信越地方会令和4年1月22日(土)Web開催東京都立多摩総合医療センター遠藤徳人[医師]はじめまして。東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科の遠藤徳人と申します。2022年1月22日に開催された第59回日本糖尿病学会関東甲信越地方会に参加しました。神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症、第6波の影響で昨年に引き続き完全なWeb開催のみとなりました。今回の学会では新型コロナウイルス感染症のセッションが設けられ、多くの症例報告がありました。糖尿病は新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子であり、糖尿病を合併し重症化した症例や感染に糖尿病ケトアシドーシスを合併した症例の発表がありました。新型コロナウイルス感染症の感染を契機に糖尿病の療養に対する意識が改善した症例もあり、興味深いものでした。また、コロナ禍における在宅時間増加が間食増加、運動量減少につながり血糖コントロールが悪化した症例もあり、新型コロナウイルス感染症の多面的な影響を再確認しました。今回の学会で、私は「ステロイドを使用し、インスリン治療を必要としたCOVID-19罹患妊婦10例の臨床的特徴」という演題を発表しました。新型コロナウイルス感染症に罹患した妊婦にステロイドを使用し、血糖上昇をきたしたためインスリンを使用した10例についてまとめました。高年齢、妊娠後期、基礎疾患を有する妊婦では新型コロナウイルス感染症の重症化に伴い、ステロイド使用、インスリン治療を必要とする可能性があるということについてお話しました。同じセッションでは他の病院からも同様に新型コロナウイルス感染症に罹患した妊婦に対しステロイドを使用し、インスリン治療を行った症例の報告がありました。他の施設での対応について学ぶことができ、とても有意義なセッションとなりました。また、免疫チェックポイント阻害薬による糖尿病発症の症例が多く報告されました。その中でも東京医科大学病院・糖尿病内分泌内科の原菜津子先生が発表された免疫チェックポイント阻害薬によるインスリン依存性糖尿病のcase series studyが印象に残りました。東京医科大学病院で経験された5例について次世代シーケンサーによるHLAタイピングを行い、HLA-B61が既存の日本人のHLAと比較して優位に多いという結果でした。HLA-B61は以前より日本人1型糖尿病患者に優位に多いとされておりHLA-B61が免疫チェックポイント阻害薬によるインスリン依存性糖尿病発症の予測因子になる可能性があると発表されました。非常に興味深い内容であり、今後、症例数を増やして解析を行うとのことでありとても楽しみです。今回はオンライン開催となりましたが、多くの講演を楽しむことができました。現在、当院でも新型コロナウイルス感染症の患者の受け入れが増加しています。来年には新型コロナウイルス感染症の流行も落ち着き、現地開催できることを願うばかりです。読んで単位を獲得しよう答え3,4下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1:×運動負荷試験は労作時狭心症の診断、心機能の重症度判定、運動耐容能の評価などを目的として、合併症の存在が疑われたり合併症を有したりする場合に必要であるため、全例に行う必要性はない。2:×顕性腎症期(第3期)以降で、運動の程度を調整する必要がある。3:○急性期以降でもADL維持のための運動処方と安全管理が必要。4:○設問文の状態はインスリン分泌・作用不全の状態が疑われ、骨格筋への糖取り込み作用が不十分な状態での運動は高血糖を引き起こす可能性があるため、運動は控えることが望ましい。5:×運動のみならず、日常生活における身体活動量の評価も必要である。質問紙、歩数計、加速度計付歩数計などを用いて評価するべきである。臨床糖尿病支援ネットワーク