ブックタイトル会報2022年1月

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会報2022年1月

第223号令和4年1月発行Page 3第36回日本糖尿病合併症学会令和3年10月8日(金)~9日(土)Web開催[当法人業務執行理事]東京医科大学植木彬夫[医師]第36回日本糖尿病合併症学会は今年も日本糖尿病眼学会と合同企画で10月8日~9日滋賀県大津で開催されました。今回もCOVID19の影響で大津会場とWebによるハイブリット形式となりました。Web形式の学会では特別講演やシンポジウムなどはライブ配信で一般公演、ワークショップなどはオンデマンド形式で行われました。Webでは参加したい会場に居ながらにして自由な時間に参加することができますが、反面開催地の文物に触れ、ご当地の食味を楽しむという密かな喜びの機会が無くなったのは残念なことではあります。いくつかのワークショップの中で興味ある発表として、JDDMのRAS阻害薬使用患者7500人のデータを用いた報告は観察研究の方法として学ぶことが多い報告でした。内容はeGFR60ml/min以上の患者にRAS系薬剤を用い、半年以内にeGFRが20%以上低下したinitial dropの程度とその後eGFRが15か30ml/min以下の腎不全に至った率を検討しています。様々な因子を調整した場合でもRAS阻害薬使用後半年以内のinitial drop低下した群は将来腎予後が悪化するリスクが高いことを示していました。従来よりRAS阻害薬は腎保護的に用いられることがあり微量アルブミンなどが認められる場合には第一選択薬として推奨されていましたが、投与初期におけるinitial dropの存在は注意していく必要があると考えさせられた報告でした。クリニカルイナーシャについても医療情報データベースを用いた報告は多くの示唆を与えるものでした。初回薬剤投与から180日以内に追加薬がないまま目標HbA1c7%が達成できていないクリニカルイナーシャ群と達成できている非クリニカルイナーシャ群の様々な要因を検討しています。その結果、クリニカルイナーシャに陥りやすい要因は年齢が高いこと、心疾患があること、19疾患の有無を調べたチャールソン併存疾患指数が患者に多いこと、一方クリニカルイナーシャになりにくい要因はHbA1cが高値、脂質異常症ありが該当しました。また高齢者と非高齢者のサブ解析では高齢者は心疾患の存在が、非高齢者は年齢が高いほどクリニカルイナーシャになりやすいとの報告でした。今後このコホートを追いかけ10年後の合併症、併発症などの予後の報告を期待したいと思います。合併症学会では基礎研究やRCT報告もありますが、多くは観察研究の報告でした。当会の会員が行う研究方法のほとんどは観察研究になります。今回の学会でも質の良い報告は様々な要因を選択し適切な統計学的手法を用いていました。我々が用いるデータは名義変数が多いため多変量解析、特にロジスティック解析や、症例が増えれば傾向スコアマッチング法などを用い、バイアスの影響を小さくすることの重要性を学ばせてもらえた学会でした。本原稿を執筆された植木彬夫先生は、去る11月28日に享年74歳をもってご逝去されました。はからずも植木先生のご遺稿となってしまいましたが、感謝の気持ちを込めて予定通り本号に掲載させていただくことに致しました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。読んで単位を獲得しよう答え1,5下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1.血糖依存的にグルカゴン分泌を促進する?グルカゴン分泌を促進では、血糖は上昇します。「血糖依存的にインスリン分泌を促進する」とすればGLP-1受容体作動薬についての記載です。インクレチン(GLP-1とGIP)は、血糖依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴンを抑制します。インクレチンは、DPP-4によって分解されます。その分解を阻害するのがDPP-4阻害薬です。5.耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制に用いる?ボグリボース(0.2mgのみ)についての記載です。臨床糖尿病支援ネットワーク