ブックタイトル会報2021年12月

ページ
1/4

このページは 会報2021年12月 の電子ブックに掲載されている1ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

会報2021年12月

第222号令和3年12月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですコロナ下にあっても進歩する糖尿病治療[当法人理事]東京都立多摩総合医療センター西田賢司[医師]新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい始めて1年半以上経ちました。現在日本では第5波が収まってきてなんと東京では今年最少となっています。なんとも不思議な感じですが、これで完全に収まるのか、あるいは諸外国で起こっているように次の波が来るのか現時点ではわからず、来るならいつ来るのかがわからないこともあわせてなかなか安心できない状況が医療者には特に厳しいところかと思います。皆様もさぞ苦労されていることかと存じます。さてそのような中でも糖尿病の分野では次々と新薬が登場しています。インクレチン関連薬では、新しいGLP-1アゴニストが注射薬だけではなく、経口薬も発売となり、治療の選択肢が増えてきていることは非常にありがたいことです。GLP-1アゴニスト週1回のものは、超高齢化社会にあって自己注射が困難な患者さんに応用できることが大きな利点の一つです。また、経口薬は注射になじまない患者さんにも良いですが、自己注射管理料が不要なことから費用負担の軽減も見込まれます。さらに、今まで注目度が低かったGIPの作用も併せ持つデュアルGIP/GLP-1受容体作動薬の臨床治験も進行中で、GLP-1単独アゴニストより良い結果が期待されています。一方、やはりインスリンは基本的治療薬として欠かせませんが、このところ超超速効型とでも呼ぶべき薬剤が相次いで上梓されています。こちらも患者さんに合わせた選択が可能ですが、使い分けという点では今後まだまだ経験・検討が必要でしょう。GLP-1アゴニストとの合剤も数種類出てきており、両方併用が望ましい患者さんには注射が1回で済むことは福音です。なお、米国では1週間持続するような基礎インスリンも開発中のようで、高齢化していく1型糖尿病患者さんへの応用が期待されます。経口薬では、イメグリミンが発売になりました。全く新しい作用機序の薬剤で、ミトコンドリア機能を改善することで膵ベータ細胞のインスリン分泌改善、骨格筋細胞のインスリン感受性改善、肝細胞の糖新生抑制などが期待できるようです。まだ出たばかりで、実際に使ってみての効果などはこれからですが、まずは他の薬剤で手詰まりになっている患者さんに効果が上がると良いかと思っています。このように次々と新しい糖尿病治療薬が出てきて、昔話をするまいと思いながらも、私の卒業した35年前はインスリンと内服は実質SU薬しかなかったことを思うと隔世の感があります。これからも新しい治療薬・治療法の開発が相次ぐことでしょう。それらの情報に溺れないようにしながらもどんどん取り入れて、患者さんのために役立つ医療を提供できるよう、当法人も努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。まだまだ新型コロナウイルス感染症には油断できませんが、皆様のますますのご発展を祈念して巻頭言とさせていただきます。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題運動前の補食について誤っているのはどれか、2つ選べ。1.血糖値の変動が大きい場合に行う2.指示エネルギー量の範囲外で摂取する3.ブドウ糖や砂糖などが適する4.チーズやクッキーなどが適する5.果物が適する臨床糖尿病支援ネットワーク(答えは3ページにあります)