ブックタイトル会報2021年11月

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会報2021年11月

第221号令和3年11月発行Page 3第9回日本くすりと糖尿病学会学術集会令和3年9月11日(土)~12日(日)Web開催[当法人評議員]青梅市立総合病院指田麻未[薬剤師]『糖尿病併存疾患を持つ患者の薬物療法を薬剤師目線で考える-在宅・入院治療への積極的介入と研究-』をメインテーマとして、当初は奈良県の春日野国際フォーラムで開催する予定でしたが、開催前の社会情勢を踏まえ、完全Web型のオンライン配信という形式で2日間かけて開催されました。今回参加したなかで、私が個人的に印象に残ったものを3つ紹介します。1つ目は『周術期の血糖管理』についてです。糖尿病内科の医師だけでなく、消化器外科医からの話も聞けたのでよかったです。手術時の侵襲によるストレスによりカテコールアミンや副腎皮質ホルモン、インスリンなどのバランスが崩れると術後に高血糖状態が持続し、術後感染症の発症を高めてしまうため周術期の血糖コントロールは重要となっています。感染予防のためには血糖値を150mg/dL以下で管理するのが望ましいとされていますが、厳格すぎる血糖コントロールは重症低血糖のリスクになってしまうため、患者ごとに個別の対応が必要です。薬剤師は周術期において、術前に使用している糖尿病薬の継続可否、手術直後のインスリンによる適切な血糖管理、また術後に食事が再開された場合の内服薬再開可否など様々な場面で介入する機会があるため、とても勉強になりました。2つ目は『糖尿病患者の足病変・足壊疽』です。フットケア外来の内容や、実際の創部に使用する外用薬(軟膏)についてなど実践的な話に加えて、皮膚科医からは原因と予防、感染症医からは使用する抗菌薬の種類など専門的な話も聞くことができました。慢性的な刺激による高度な胼胝(たこ)や足の変形から壊疽に至るケースが多いため、運動療法を積極的に行っている患者では、足病変に対して特に注意が必要であるということを今回学ぶことができました。末梢神経障害の有無や末梢動脈疾患の既往があるか、などは気にしていましたが今後は運動量についても注意して聞き取りを行い、指導に活かそうと思いました。最後に『インスリンボール』についてです。インスリンボールの基礎(原因や予防)から疑わしい症例の見つけ方、触診の方法と適切な対処について学ぶ事ができました。インスリン使用中の患者で血糖コントロールが悪化し不安定になってきた場合には、インスリンボールの存在を疑う必要があります。ただし、指導の際にインスリンボールに気づけたとしても、インスリンの使用量が多い患者では、硬結部位を外して注射を行うと重篤な低血糖を招く可能性があるため、発見後の対応にも注意が必要です。インスリン導入時には、毎回違う場所に注射するよう指導されてはいますが、臍の左右に交互に打ってしまい両側にコブのようなインスリンボールができてしまうケースは多いので、療養指導を継続して行っていくことの重要さや必要性を改めて感じる事ができました。今年はWebでの開催でしたが、2022年は現地(横浜)で体験型プログラムにも参加してみたいと思いました。読んで単位を獲得しよう答え4,5下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1.正:本文の通り2.正:本文の通り3.正:恋愛が血糖コントロールに影響を与えることがある。4.誤:積極的に公表するか否かは、患者自身が選択することである。5.誤:思春期特有の痩せ願望による拒食症や過食症など女性には摂食障害や食行動の異常が起こりやすいため、食事や体重への極端なこだわりには注意する。若い1型糖尿病女性患者が摂食障害を合併しやすい。臨床糖尿病支援ネットワーク