ブックタイトル会報2021年9月

ページ
3/4

このページは 会報2021年9月 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

会報2021年9月

第219号令和3年9月発行Page 3第64回日本糖尿病学会年次学術集会令和3年5月20日(木)~22日(土)Web開催[当法人会員]緑風荘病院鈴木順子[管理栄養士]第64回日本糖尿病学会は、昨年に引き続きオンラインLive配信にて2021年5月20日(木)から5月22日(土)までの3日間、またオンデマンド配信での開催となりました。教育講演やシンポジウムを視聴しましたが、特に興味をもったものはディベート3『サルコペニアかつ腎症を合併した糖尿病:サルコペニアの治療を優先vs腎症の治療を優先』についてご報告させていただきます。このディベートでは症例を交えながら前半は糖尿病を専門とする医師から後半は腎臓病を専門とする医師から、それぞれサルコペニア及び腎症の治療を優先するかと題してご講演くださいました。私自身はサルコペニアを優先したいという考えで視聴していました。サルコペニア及び腎症を優先して治療することの様々なメリットやデメリットがある中、やはりサルコペニアがあることで、腎機能や心血管イベントへの影響、のちに生命予後との関連性が出てきます。最終的には、サルコペニアを優先しながら食事療法としてエネルギーやたんぱく質を十分に補い、腎イベントを低下させるSGLT-2阻害薬やGLP-1受動態作動薬、場合によってはARBを使用することがベターな治療とまとめられていました。高齢者は1つの疾病を持っていることは少なく、今回のように腎症があるサルコペニア患者など様々な併存疾患があります。1つの病態の知識だけでなく、複数に合わさったことによっておこる合併症や身体の機能なども学ぶことの重要性を痛感しました。何はともあれ、食事療法は治療の基本になるので、個々の患者に合った指導をしていきたいと思います。ここ近年、オンラインでの学会やセミナーが増えており、参加しやすくなったり聞き逃したところを何度も聞くことができ、有意義だったと思う反面、特にディベートなどは会場の熱気なども感じながら聞くとまた違った捉え方をしていたかもしれません。安心して以前のような学会参加ができることを願っています。第64回日本糖尿病学会年次学術集会は5月20日から22日までWebのLIVE配信とオンデマンドの組み合わせという形で開催されました。新型コロナウイルス感染症がもたらした新世代の学会の開催形式なのかもしれません。今回の学会は本来であれば富山県で開[当法人評議員]公立昭和病院櫻井勉[臨床検査技師]催されていたはずで、現地の雰囲気を感じられないのは悲しいですが、とても参加しやすく聞きたい演題が重複していても聞くことができ、とても良い形態だと思いました。本学術集会は「日々の診療での気付きから新しい糖尿病学を切り拓く」と銘打たれており、インスリン発見から100年目という節目でもあり関連する記念講演が多数ありました。さて、本題の研修レポート「ホットトピックス」とは違うかも知れませんが、急性期の中規模、地域中核拠点病院に勤める臨床検査技師として多様化する糖尿病患者さんへどのような療養指導ができるのか再度考えさせられました。また、「病院全体の糖尿病力を上げる」を聴講し、現在の診療報酬制度上、当院のような急性期病院の内分泌代謝内科自体が病院経営上からはとても理不尽な状況に置かれていることにショックを感じました。総合病院で500床であれば糖尿病が強く疑われる可能性のある人の割合を考えれば50人以上は入院している計算となり、主病名ではなくとも潜在的な患者さんが多数いることが推定されます。特に日本では「がん」も重要な疾患であり、多数の患者さんが入院しているわけで、病院全体で「がん」と「糖尿病」を意識する必要がある時代であると思われます。臨床検査技師としては糖尿病合併症の精査の際に「がん」を、がん治療の際に「糖尿病」を発見できるように検査データを確認し、臨床医により早く報告できるように努力しなければいけないと思います。読んで単位を獲得しよう答え2,3下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1:正しい。低血糖を回避して交感神経応答の回復を図ります。2:誤り。火傷を防ぐため,あんかなどの保温器具の使用は避けます。3:誤り。予後は良好で,ほとんどが数か月で自然治癒します。4:正しい。安静時でCVR-R 2.0%未満であれば心自律神経障害が疑われます。5:正しい。ただし,過度な塩分摂取による高血圧や心不全には注意が必要です。臨床糖尿病支援ネットワーク