ブックタイトル会報2021年8月

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概要

会報2021年8月

第218号令和3年8月発行Page 3第64回日本糖尿病学会年次学術集会令和3年5月20日(木)~22日(土)Web開催[当法人会員]武蔵野赤十字病院志賀和美[看護師]事前登録して参加した2つの企画の報告をします。一つは「リス☆カン」です。「リス☆カン」とは、3~4人でグループになり、提示された糖尿病症例に対して、患者役、指導士役、観察者役に分かれて、療養指導のロールプレイを行うものです。グループは、看護師、薬剤師、栄養士等、多職種で構成され、普段は見ることのできない、他者、他職種の指導を観察することができること、指導士役は意見をもらうことで自分の良いところ、指導のくせ等に気が付くことができます。以前にも参加経験がありましたが、オンライン開催ということで、北海道や大阪、京都など遠方の方とグループになり、地域による指導の違いを体験し、とても楽しいロールプレイになりました。もう一つは、日本医療学学会合同企画シンポジウムです。こちらも、数人のグループになり、発表された症例に対して、意見交換するというものです。中でも印象に残ったのは、東日本大震災に被災された女性の糖尿病患者さんの症例です。震災でお孫さんを亡くされてから治療意欲を失っていたが、あるきっかけで、自分は生かされているのだと感じることができ、糖尿病も改善に向かったという症例でした。関わった看護師の“何かもっとできることがあったのではないか”との語りについて、グループでディスカッションしました。私のグループは、ファシリテータの医師以外の2名は臨床心理士さんでした。患者さんが変化したのはどのような対応があったからか、自分ならどうするかなど話し合い、心の変化がこんなにも身体に影響するのだということを改めて考えました。不安だった、Zoomでの対話も遠隔とは思えないくらい自然に行えました。オンライン開催は、自宅で温かいコーヒー片手に参加できる手軽さと、参加の合間に家事ができるなど、主婦にとってはうれしい限りです。しかし他の先生方も言われているように、一緒に参加した人たちと現地の文化に触れたり、美味しいものを食べるなどの交流ができないのは寂しい限りです。状況に応じて参加方法が選択できるようになると良いと願います。第64回日本糖尿病学会年次学術集会が5月20日~22日に完全Webで開催されました。COVID-19の影響で昨年同様に今年もWeb開催でしたが、発表当日のシンポジウムや口演ではチャット機能での質問によるディスカッションもあり、非常に充実した内容となってい[当法人会員]豊島病院増田浩了[理学療法士]ました。また、後日にオンデマンド配信もあり、見逃した発表も自分のペースで視聴することが可能でした。私自身が特に興味深かった内容を3つ挙げさせていただきます。1つ目は、「シンポジウム18運動療法における臓器間ネットワークの役割と臨床への展開」で、運動療法について最新の研究の知見から臨床現場での取り組みなどが講演されていたことです。中でも、レギンス型の身体活動量計や、運動療法の実施状況・効果を測定するための血液データの研究は、臨床現場で活用出来ると感じており実用化が待ち遠しいです。2つ目は、「シンポジウム15多様化する糖尿病への医療の個別化を目指して」で、運動療法についても個別化の在り方が述べられていたことです。例えば、運動療法が実施できない理由に、勤労世代では「仕事・子育てで時間がない」が多いのに対して、高齢者世代では「身体の痛み」が多いです。そのため、世代別はもちろんですが個人により運動療法が実施できない理由は様々であり、それを考慮した対応が重要だと感じました。3つ目は、COVID-19関連の発表です。COVID-19禍での新しい生活様式は、身体活動量や身体機能などに悪影響を及ぼすことが報告されています。今回の学会では、新しい生活様式での運動療法の工夫・対応策の発表も散見されました。まだまだ、COVID-19収束の見通しは立っておらず、引き続き対応策の検討が必要だと思いました。読んで単位を獲得しよう答え1下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説糖尿病の慢性合併症の一つである大血管症(動脈硬化性疾患)は、糖尿病患者の主要な死亡原因であり、特に虚血性心疾患や脳血管障害の比重が大きい。危険因子は糖尿病だけでなく、脂質異常症、高血圧、肥満、喫煙などがあるが、重複して存在することが多く、その基礎にはインスリン抵抗性が関与している。糖尿病患者の非糖尿病患者に対する脳血管障害と虚血性心疾患の発症率は、久山町研究ではいずれも約3倍、JDCSではそれぞれ約4倍と約5倍と報告されている。女性の発症率が男性と近似することも特徴である。1.×日本人の糖尿病患者での心血管イベント発症率は非糖尿病患者の3?5倍程度となる。臨床糖尿病支援ネットワーク