ブックタイトル会報2021年4月

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概要

会報2021年4月

第214号 令和3年4月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人業務執行理事]杏林大学/近藤医院近藤 琢磨 [医師]免疫について考える昨今“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 経口血糖降下薬について誤っているのはどれか、2つ選べ。 (答えは2ページにあります)1.α-グルコシダーゼ阻害薬は多糖類から二糖類への消化を阻害する作用を持つ2.SGLT2阻害薬は消化管におけるブドウ糖やガラクトースの吸収を抑制する作用を持つ3.ビグアナイド薬の副作用に乳酸アシドーシスがある4.チアゾリジン薬の問題点として体重や骨折頻度の増加があげられる5.一部のSGLT2阻害薬の1型糖尿病患者への適応拡大に伴い、ケトアシドーシスの増加が懸念されている二度目の緊急事態宣言が延長され、新型コロナ感染症との長期戦はまだまだ続きそうです。3月になり日本国内でもようやくワクチン接種が解禁となり、医療従事者から少しずつ開始されています。最近のテレビ番組もご多分に漏れずワクチンの話題が中心で、「中和抗体」とか「ブースト」といった専門用語が飛び交っています。この感染症の拡大は、これまでになかったほど「免疫」について考える機会を与えてくれたともいえるでしょう。免疫といえば、2018年に免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用により、京都大学名誉教授の本庶 佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。ちょうどその頃から、様々ながんに対する免疫チェックポイント阻害薬による治療が急速に拡がってきています。ニボルマブを例にとると、悪性黒色腫、非小細胞肺がんに始まり、尿路上皮がん、腎細胞がん、頭頸部がん、食道扁平上皮がんなどが既に適応症とされ、その他の固形がんに対しても治験が進んでいるのが現状です。現在使用されている免疫チェックポイント阻害薬は、作用点の違いから抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体の3タイプの製剤に分類されます(図参照)。それに伴い、いわゆる「免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAE: immune-related Ad-verse Events)」が問題になっています。特に、甲状腺疾患や下垂体疾患など内分泌疾患の新規発症が多数報告されており、その中にはいわゆる劇症1型糖尿病の発症も報告されています。(今年1月に開催された日本糖尿病学会関東甲信越地方会でも多くの症例が発表されていました。)通常の劇症1型糖尿病は、感冒症状や悪心、嘔吐、腹痛といった消化器症状が約70%の症例で認められること、さらに口渇、多飲、多尿など高血糖特有の症状が数日間で急激に出現することが知られている。したがって、免疫チェックポイント阻害薬投与開始後はこれらの症状出現に留意する必要があるのはもちろん、がん治療を行っている当該科と内分泌代謝を専門とする診療科のメディカルスタッフを含めたスムーズな連携が求められます。さらに一般内科診療でも、がん治療を行っている患者さんの中でirAEが出現する可能性もあることから、使用薬剤等は小まめに確認していくことが重要です。