ブックタイトル会報2020年11月

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会報2020年11月

第209号 令和2年11月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人評議員]中島内科クリニック中島 泰 [医師]医療情報の電子化について“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 糖尿病自律神経障害について誤っているのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります)1.糖尿病神経因性膀胱では、尿意および排尿回数が減少し排尿困難となる2.起立性低血圧は副交感神経障害による末梢血管の収縮障害が生じることで起こる3.喫煙は神経障害を悪化させる4.無自覚性低血糖がある場合は、血糖値を通常の目標値よりやや高めに保つ5.糖尿病胃腸症に対して止痢剤や緩下剤の使用は好ましくないCovid-19の感染拡大に伴い、テレワークなど情報通信技術(ICT)が注目されています。医療現場も例外ではなく、オンライン診療の規制緩和、ウェブでの学会、カンファレンスの開催が増加しています。おそらくこのような体制は感染終息後も継続され、我々医療従事者も無関心ではいられません。今回は、医療情報の電子化について私の思うところを述べます。私はICTの利活用には興味があり、アナログのPHR(Personal Health Record)である糖尿病連携手帳の内容を電子カルテ上に展開し、所見、検査結果や処方などを時系列で把握できるシステムの構築をしてきました。過去の診察を振り返り、慢性疾患の経過を抜けなく一覧できるので、患者と医療従事者が容易に共通認識を築けます。PHRとは患者自らが医療・健康情報を収集し一元的に管理する仕組みのことですが、経過の把握だけでなく、複数の医療機関での情報共有において、連携手帳は優秀なアナログのPHRです。一方で、記載に手間がかかり、患者の不携帯が多いことが欠点です。電子カルテ共有はNY州の「ヘルシックス」が有名ですが、日本ではまだまだ実現が難しいようです。PHRであれば、患者自身が情報を持ち歩くので、セキュリティーレベルを下げることができます。入出力、携帯性にすぐれた連携手帳の電子化に期待します。また、Apple Watchの機能追加で話題になったように、ウェアラブルデバイスが著しく進歩しています。糖尿病領域では、FGMやCGMなどにより、医療機関で採血をせずとも、患者自身で血糖変動をアセスメントできるようになりました。我々にとっても有用な情報ですが、患者も診察の前から状況を知っており、診療の進め方が変わってきているように感じます。機器の進歩に伴い、その活用方法を常に考えていかねばならないと思います。最後に、オンライン診療についてです。Covid-19感染拡大を防ぐには、たしかに人と人が接点を減ずることが有効です。これだけ技術革新が進み、自宅にて患者自身が健康状態を把握できるのであれば、オンライン診療が増えるのは間違いないでしょう。しかし、診察ではかなりを視力、聴力に頼るとはいうものの、五感すべてを用いますし、感染症の時など第六感的な感覚で危険を察知する場面もあります。9月にご逝去された後藤由夫先生の教えに、「<血糖医者>になるなよ!」と血糖値だけを診る医師への戒めがあります。TV映像と音声、検査結果だけで診察をすますと、そのようなことになりかねません。特に患者の治療意欲を引き出す場面では、実際に相対することに勝る方法はないでしょう。オンラインと対面のバランスは、今後の課題の1つになりそうです。医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。便利な技術は有効に活用し、かつ、患者に寄り添うスタンスを忘れないよう心掛けたいと思います。