ブックタイトル会報2020年8月

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概要

会報2020年8月

Page 2 第206号 令和2年8月発行臨床糖尿病支援ネットワーク基礎から学ぶ生活習慣病アプローチ運動療法編[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター天川 淑宏 [理学療法士]特別企画糖尿病レクチャーシリーズ糖尿病治療は「食事療法や運動療法に取り組み、その状況下においても十分な血糖コントロールが得られない場合、薬物療法として内服薬が用いられインスリン分泌の不足や糖尿病型ではインスリン治療が用いられる。なお、基本の食事と運動療法の継続はより一層の薬物療法の効果へとつながる」。この運動の役割は、単なるエネルギー消費のみでなく骨や骨格筋への刺激から放出される生理活性物質(ホルモンやサイトカイン)と多臓器関連を踏まえ、4年前より集団で行う教室は「運動療法教室」を改め「からだを知る教室」として行っている。この背景の1つは、2007年コペンハーゲン大学のペデルセン博士の論文「Beneficial health effects of exercise the role of il-6 as a myokine」では、「サイトカインをマイオカイン(myokine)」と命名されるべきだと提案された。私は、この論文の意味する「収縮する筋肉がサイトカイン産生器官としての発見から内分泌器官としての骨格筋」という新しいパラダイムが生まれたことに運動療法の改革がやってくると確信した。そして、患者にその「見える化」を伝えることの必要性とともに運動への障壁を超えることへの重要性と捉えている。糖尿病治療の進歩により食事療法では、食事の摂取により分泌される消化管ホルモンの生理的濃度でインクレチン分泌が血糖依存性にインスリン分泌を促進し「食べる順番」がある。そのインクレチン作用を持続すべく従来の糖尿病治療薬とは異なる機序から血糖降下作用をもたらすDPP-4阻害薬が2009年から治療薬として登場。近年インクレチンの1つであるGLP-1受容体作動薬(注射薬)との進展が目覚ましい。運動もまたマイオカインを産生させ、マイオカインのIL-6は 小腸のβ細胞からのGLP‐Iの分泌を刺激しインスリン分泌に重要な役割を果たすとされている。さて、運動の不足がよくないことは誰もが知っている。その 「運動不足」には、足は「あし」、運は体を「はこふ゛」、動はからだを「うごかす」、不はそれを「しない」。との意味もあるのではないかと患う。30 分以上座りっは゜なしでいることが糖代謝に影響し、その繰り返しが糖尿病への危険率も高めるという。この動かない生活行動を患者へ問いかけるために「お家で最もよく使うリモコンは何か」を問うと、誰もがTVと答える、そのリモコンは何処に置くか?「手元!」。このやり取りで気づくことが身近な運動不足である。