ブックタイトル会報2020年6月

ページ
2/4

このページは 会報2020年6月 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

会報2020年6月

Page 2第204号令和2年6月発行特別企画糖尿病レクチャーシリーズ基礎から学ぶ生活習慣病アプローチ糖尿病の食事療法と栄養指導編[当法人理事]駒沢女子大学/緑風荘病院西村一弘[管理栄養士]糖尿病の食事療法の変遷から紹介します。糖尿病の食事療法は薬物治療が確立されるまでは、バンティング(1860年代)やアトキンス(1960年代)に代表される極端な糖質制限から始まりましたが、その危険性や実効性の難しさから、エネルギー制限を中心としたバランスの良い食事を糖尿病の食事療法として推奨されてきました。近年になり糖質制限が再び注目されるようになり、食事療法は多様化しています。そのような中、持続型の血糖値のモニタリングが可能になったことで、食べ方の工夫(食べる順番や時間等)による効果も明らかになりました。先に述べたように糖質の量を制限することが近年は提唱されていますが、耐糖能異常がある医療従事者に糖質量約20gの間食を食べて、持続型血糖測定器(リブレ)を装着してモニタリングした結果では、このグラフが示す様に、糖質の量だけが食後の血糖値に影響していたとは、言えないことが示されました。同時にエネルギー量が少ない大福やせんべいは血糖値への影響が大きく、エネルギー量が多いチーズケーキやチョコレートなどは影響が小さいことも示されたので、エネルギー制限だけでも血糖値のコントロールは難しいことが示されました。また、食べ合わせによる血糖値への影響も幾つかの論文が示され、その一つとして、ごはんと牛乳の食べ合わせを食後の血糖曲線の面積を示すグリセミックインデックス(GI)で表したグラフでは、ごはん単独でのGIは100ですが、ごはんと牛乳を食べ合わせることでGIは70以下に低下することも示されました。我々は牛乳をだし汁代わりに使用した「和食」を「乳和食(New和食)」として病院や高齢者施設の給食でも毎週5回程度実際に活用して、患者や利用者の減薬にも成功しています。次に糖質の種類についても触れたいと思います。パラチノースとは蜂蜜の中にも含まれる天然の糖質で、てん菜から砂糖(スクロース)を作り、酵素の力により作られる天然の糖質です。砂糖は二糖類分解酵素(αグルコシダーゼ)により素早く分解され血糖値を上昇させますが、パラチノースは砂糖の1/5のスピードで分解されるので、血糖値の上昇は緩やかになり、持続的に吸収されます。更に分解酵素への結合が早いので砂糖と同時に摂取することで砂糖の吸収も遅らせることができるので、糖質は量より質が重要ということになります。臨床糖尿病支援ネットワーク