ブックタイトル会報2020年4月

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概要

会報2020年4月

第202号令和2年4月発行Page 3第57回関東甲信越地方会令和2年1月18日(土)パシフィコ横浜[当法人業務執行理事]東京医科大学植木彬夫[医師]令和2年1月18日、パシフィコ横浜において第57回関東甲信越地方会が行われました。私にとっては初めて自分が関連する報告やシンポジウムなどが無く、一日中興味ある演題やセッションを聴くことができた一日でした。JDSの地方会は基本的には症例報告が多く、なかでも圧倒的にSGLT2阻害薬関係の演題が多く報告されていました。メディカルスタッフセッションではチーム医療の実際などの報告があり、施設、地域において様々な工夫がなされていることが報告され興味深いものでした。今回、私が最も期待したセッションは「臨床研究の進め方とその成果」と題された教育セミナーです。このうち、「元女子医科大学糖尿病学教授平田幸正先生が、詳細な臨床症状からいかにしてインスリン自己免疫疾患を発見したか」を報告された内潟安子先生の講演と、「多施共同研究の方法と倫理審査の問題点」を述べられた横浜市立大学の寺内康夫先生の講演は、私にとって多くの知識と示唆とを得るものでした。突然低血糖で倒れてしまう患者を診て、インスリノーマや他の代謝疾患などを慎重に検索しても見つからないが、血中インスリン濃度は健常人の100倍以上もあります。この患者のケースカンファレンスでは隠れてインスリンを注射しているのではないかと疑われましたが、平田先生は患者の食事や症状の詳細な聞き取りからインスリン自己抗体がインスリンと結合しインスリン効果が少なくなり高血糖になるが、何らかの理由でインスリンと抗体の結合が分離しフリーのインスリンが低血糖を生じさせるインスリン自己免疫症候群(平田病)の概念を提唱しました。その特徴は、(1)インスリン注射歴がないにもかかわらず重症の低血糖発作で発見される、(2)患者血中には大量のインスリン(IRI)が存在する、(3)インスリン自己抗体が存在し、血中インスリンのほとんどと結合していることです。その後、インスリン自己免疫症候群は特定のHLAと強く相関することが明らかになり、(4) HLA-DR4(DRB1*0406)と強い相関をもつことも特徴のひとつであること。インスリン自己免疫症候群は日本を中心とした極東アジアに多く発症するという特徴があるが、これはHLA-DR4(DRB1*0406)がその進化過程から極東アジア、特に日本人に高頻度に見られることから説明できると報告されました。たった一人の低血糖症状からいかにして平田病を見つけその病態生理、遺伝子解析までおこなった過程は私たちに多くの示唆を与えました。寺内先生の他施設用同研究のありかたについては、今後倫理審査の問題が大きな課題となること、前向き介入試験は我々臨床の場ではかなり困難になるであろうことを述べられていました。しかし今後後ろ向きコホート研究などの手法をつかうことによりRCTに劣らない実臨床のデータがこれまで以上に報告されるようになるであろうと言うことを述べられていました。同じセッションで新潟大学の曽根先生は今後電子カルテ(HER)情報、レセプト情報などから得られるビッグデータが個々人の診断や適切な治療を導いてくれるAIが開発されていくだろうと述べられていました。いずれにしろ、日常診療にリサーチマインドをもって臨むことの重要性、日々診療の記録が集まり従来のランダム化比較試験(RCT)以上に実臨床に即した研究が行われてきていることを熱く語っていました。読んで単位を獲得しよう答え1,3下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説食品交換表は、多く含有している栄養素によって食品を4群6表と調味料に分類し、食品のエネルギー80Kcalを1単位と定め、その重量を記載しています。同一表の同一単位の食品は類似の栄養素で構成されているため、交換摂取することができます。1.〇どちらも表1の食品です。2.×みたらし団子は嗜好食品に分類されます。嗜好食品は砂糖を多く含むので、血糖値や中性脂肪が高くなりやすいなど、原則として、糖尿病には好ましくない食品とされています。3.〇どちらも表5の食品です。4.×果物の缶詰、干し果物は嗜好食品になります。生果物よりビタミンC含有量が少なく、缶詰には砂糖が多く含まれています。5.×プロセスチーズは含まれる栄養素から、食品交換表では表3に含まれ、牛乳は表4です。表4は、カルシウムや良質のたんぱく質を多く含み、炭水化物のうち乳糖を含む食品です。臨床糖尿病支援ネットワーク