ブックタイトル会報2020年3月

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会報2020年3月

第201号令和2年3月発行Page 7第23回日本病態栄養学会年次学術集会令和2年1月24日(金)~26日(日)国立京都国際会館[当法人会員]武蔵野赤十字病院黒木智恵[管理栄養士]暖冬と言われる2020年。北国出身の私には「底冷えするような冬の京都」と表現するには物足りない…そんな気候の中、「栄養をつなぐ」をテーマに第23回日本病態栄養学会年次学術集会が開催されました。糖尿病をはじめとする各種疾患のみならず、がんや低栄養、地域連携やAIの活用など、例年以上に多岐にわたるテーマがあったように思います。糖尿病においては、やはり改定された糖尿病診療ガイドライン2019が熱いテーマだったのではないでしょうか。ガイドラインで大幅改定となった「エネルギー設定」の解釈や考え方について、各種学会の先生方による合同パネルディスカッションでは講演・議論がなされていました。食事療法に関しては、従来は「標準体重」を一律に用いてきましたが、目標とする体重は年齢や病態によって異なることを考慮して、個別に設定した「目標体重」を基準とすること、と変更されました。また、「身体活動レベル」は「身体活動レベルと病態によるエネルギー係数」へ変更されており、より「個別性」に配慮した目標を設定することが重要であると記載されています。特に65歳以上の高齢者では、BMI22?25kg/m 2を基準とした目標体重を設定することや、高齢者のフレイル予防の観点からは身体活動レベルより大きい係数を設定してもよいとされています。さらには、栄養摂取比率においても「多彩な条件に基づいて、個別化を図る必要がある」として具体的な目標値がステートメントから削除されました。今回の改定は、これまでの生活習慣病を背景とした糖尿病だけでなく、昨今の高齢者糖尿病の増加や、フレイル・サルコペニア対策を大きく反映した結果でもあります。超高齢社会を迎えている今、糖尿病診療に携わる私たちは、より患者さんに寄り添い、個々人の食習慣や食嗜好だけでなく、年齢や身体・生活状況を考慮しながら目標を設定し、療養生活を支えていく一助となるよう柔軟な対応が求められます。また、それぞれの目標設定においては、「一定の幅を持たせる」という側面から、多様性の出てくるであろう患者さんごとの目標や課題を多職種や地域で共有していく力、その仕組みも重要になると感じました。今回改定されたガイドラインを改めて読み直し、その意図や意義を考えるよい機会になりました。今回の学会で学んできたことや感じたことを日々の療養支援にいかしていきたいと思います。読んで単位を獲得しよう答え3,4下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説乳酸アシドーシスを引き起こすのはビグアナイド薬、頻尿を引き起こすのはSGLT2阻害薬である。ビグアナイド薬は消化器症状も引き起こすし、SGLT2阻害薬で皮膚症状の報告もあるので2と5は正解である。各薬剤の代表的な副作用について知っておくことは療養指導上大変重要なことなので、ぜひ整理して覚えておいていただきたい。臨床糖尿病支援ネットワーク