ブックタイトル会報2020年2月

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会報2020年2月

第200号《特別号》令和2年2月発行Page 13コラムCGMの評価法(TIR)について[当法人業務執行理事]東京医科大学植木彬夫[医師]患者さん自身がリアルタイムで糖の流れを知ることのできるツールが使われるようになりました。とくにFGMといわれるアボット社のリブレは従来のCGMとは異なり施設限定ではなく、一般診療所でもインスリンやGLP1作動薬の注射療法を行っていれば2型糖尿病患者でも自己血糖測定加算として算定できるため、多くの患者に用いられるようになってきました。患者はセンサーに随時、専用のリーダーを近づけることにより非観血的に現在の糖の値を知ることができます。その結果食事内容や食べ方による糖の動きが判り自己管理がより簡単に適切に行えるようになり、そのアウトカムとしてHbA1cの改善や体重の管理がしやすくなってきました。糖の値を見た回数と180mg/dl以上だった時間、70mg/dl以下の時間は自己の糖の値を見る回数が多ければ多いほど高血糖の時間や、低血糖の時間が減少していることが報告されています。糖の変動幅が小さくなってきたことが推測されます。この変動幅の変化を評価するために従来は平均値±標準偏差、MAGE、四分位範囲(Inter Quarter Range:IQR)などの方法で評価されてきました。最も新しい評価法として臨床的にも納得のいく評価法が昨年ADAにおいて「CGMにおける糖の管理目標」としてTime in Range(TIR);治療域時間の概念が提唱されました。以下のURLから原論文がDLできます。(https://care.diabetesjournals.org/content/diacare/early/2019/06/07/dci19-0028.full.pdf)定義得られた糖の値の範囲を妊娠以外と妊娠時に分けて以下の3カテゴリーに分けています。妊娠以外の場合、1.TIR:Time in Range治療域:70?180mg/dL2.TAR:TimeAabove Range)高血糖域:180mg/dl以上3.TBR:Time Below ange)低血糖域:69mg/dl以下の3群に分けています。さらにTARはレベル1と2、TBRもレベル1と2に細分類しています。妊娠時はさらに厳格になり、1.TIR:Time in Range治療域:63?140mg/dL2.TAR:TimeAabove Range)高血糖域:141mg/dl以上3.TBR:Time Below ange)低血糖域:62g/dl以下とし、TBRはレベル1.2と細分類しています。そしてこれらのカテゴリーの管理目標として非リスク群や1型糖尿病ではTIR(治療域)を70%以上保つことが推奨され、低血糖域(TBR)は5%未満であることを推奨しています。一方、高血糖域(TAR)のレベル2(250mg/dl以上)は非ハイリスク群もハイリスク群も5%未満であることとしているが、妊娠時はレベル1に留めておくことを推奨しています。現在増え続けている高齢糖尿病の血糖管理は断面的血糖の値の評価だけではなく、常に揺らいでいる血糖値の動きを評価することが重要です。今後益々血糖管理のツールとしてCGMの必要が増すと考えられます。臨床糖尿病支援ネットワーク