ブックタイトル会報2019年12月

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概要

会報2019年12月

第198号令和元年12月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です生きること、食べること子の曰わく、吾十有(ゆう)五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)ふ。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。読んで単位を獲得しよう臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人理事]多摩北部医療センター藤田寛子[医師]だれでも一度は聞いたことのある、論語の有名な一節です。この言葉の奥深いところは、その意味もさることながら、色々な状況や立場に通じるところかもしれません。私自身、食事や生活習慣を指導する際に、何故かいつもこの一節を思い出します。「心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」というところがとても羨ましく、理想的に映ります。ああ、食生活がこうであるならば、どれだけの方が、血糖コントロール不良や肥満症から逃れられることでしょう。食生活がここに至るまでに70歳までかかるのはさすがに困りますが、食生活の理想は、「食べたいのに我慢する」ではなく、「自然に従って食べて過食にならず、よい血糖・代謝状態を維持できること」だと思います。食べるという喜びを自然体で楽しみ、かつ健康を保てるとしたらこれほど嬉しいことはありません。しかし、適度に栄養を摂り健康に生きるという、ごくごく自然の営みは、現代社会においてはかなり難しい課題になっています。現状では、昼夜の体内時計に反した生活を強いられ、また、日々競争原理にあおられ、体だけでなく心の安らぐ時間も少なくなっています。すなわち、我々は、常に過食に走る体内ホルモンを誘発しやすい環境に生きているといえるでしょう。そのような状態ですから、糖尿病や肥満症のかたの場合はもっとつらい状態にあります。このストレスだらけの世界で、さらに「インスリン効果のずれや不足により、血糖変動が大きくなり体内ホルモン環境が大きく動く状態」が加わり、「高血糖の状態の持続・脱水傾向」という全身の細胞レベルでの酸素&栄養不足にかかわる状態に置かれるわけで、食事自体が生体にとって相当なストレスに結び付く結果になる可能性があるのです。この30年間、糖尿病薬・デバイスの開発・改良は確実に進み、近年は血糖変動を減じ低血糖を起こしにくい治療も実現しやすくなり、体組成を変えうる薬も登場して、体内の酸化ストレスが減った方も沢山いると思います。また、インスリン製剤も進化し、インスリンポンプの技術も進みました。体内の状態に合わせてインスリン注入量を自動的に変更する「全自動パーソナル人工すい臓」と呼べるほどにはまだ至っていませんが、今後はより良い血糖コントロールが得られるようにさらに開発・改良が進むことでしょう。しかし、食事に対する満足感・幸福感の研究から見えてきたものは、やはり、生活習慣・食生活の適正化が非常に重要だということ。それを乗りえることこそ、正しい食事での満足感や肥満予防へ繋がるだろうということでした。多くの方が過食の有害さを認識し食生活を変えてゆくには、一般啓発活動だけでなく、学校教育や、コンビニや食料品店に並ぶ総菜やお弁当の改良も含め社会的改善も必要です。それは、個人レベルでは想像を超える、多方面からの協力と時間を必要とするため、先を見通せない印象もありますが、多難が予想されたあの「禁煙活動」が今では常識に変わったように、さまざまなレベルで力を合わせて取り組めば、大きな流れを作り出すことができるはずです。食べる喜びを味わいつつ健康に生きる・・・我々は、これからも自己研鑽に励み、目の前の患者様に寄り添い、身近なところから生活習慣改善を一緒に推し進めてゆきましょう。西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題インスリンポンプ療法について正しいのはどれか、2つ選べ。1.持効型溶解インスリンを基礎インスリンに使用する。2.基礎インスリン必要量は総インスリン量の30~40%程度となることが多い。3.注入セットは2週間に一度取り換える。4.低血糖は起こしにくい。5.SMBGを行う。(答えは3ページにあります。)