ブックタイトル会報2019年10月

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概要

会報2019年10月

第196号 令和元年10月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人評議員]高村内科クリニック小池 日登美 [健康運動指導士]すべては「知る」ことからはじまる「なんで!」と「なんで?」の違い“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」で正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります。)1.「+10(プラス・テン)」とは1週間に10エクササイズを実施することである。2.運動ではなく、身体活動=運動+生活活動を全般的に増やすことが強調されている。3.18~64歳では、1日10,000歩が目安である。4.運動の介入方法として、「気づく」「始める」「維持する」「つながる」の4つの目標が設定されている。5.65歳以上の高齢者は、1日合計40分を目標にからだを動かすと良いとされている。二宮金次郎と聞くと、薪を背負って本を片手に歩く少年の銅像を思い浮かべるのではないでしょうか。これは『貧しくても忙しくても、勉強が大事で本を読め』という日本人が大切にしてきた勤勉さの象徴であるといわれています。最近、ひょんな縁から金次郎の子孫に会って話を聞く機会がありました。そこで語られたのは、あの姿で大切なのは一歩踏み出している足であり『一歩を踏み出すために何かを学んだり、現実を見たり知ろうとすることが重要で、そこから道が開けていくのだ』と。一歩踏み出している姿をご存じでしたか?話がとても興味深く、金次郎に関する本を読みだしたら面白かったので紹介します。金次郎は荒れ果てた田畑をみて「人間って凄いな」と思ったそうです。自然はこの世界に荒れ地しか生み出さないけれど、人間は豊かに実る田畑を生むことができる。目の前の事実を受け止め、そこから解決策を見出す金次郎の発想の原点はここにあり、それがナスの味の変化に気づき飢饉を回避した行動に結びついていきます。これは、春に食べたナスが秋ナスの味がすると気づいたこと。暦ではこれから夏がくるのにナスは今が秋でこれから冬がくると伝えていたことで、金次郎は村人に米の代わりに寒さに強い稗や粟などに植え替える提案をして天保の大飢饉を乗り切ったといわれています。彼は、季節によってナスの味が変わることを知っており暦に頼らなかったこと。村人が本当に来るかわからないのに金次郎の言葉を信じて行動したことに驚きました。人はそれを知ろうとするとき「なんで」という言葉を使いますが二種類あるそうです。一つ目は、つい苛立って使ってしまうビックリマークつきの「なんで!」です。これは、相手を知ろうとしているのではなく「なんで薬が飲めないの」「なんで運動ができないの」「なんでHbA1cが下がらないの」というこちらが持っている答えを受け取れというactionの言葉であり一方的な投げかけです。そういえば日常の中で思い当たることがあります。二つ目はクエッションマークの「なんで?」です。これは相手への興味や関心を伴い、re-actionの言葉であり、相手が持つ事情やメッセージを受け取り「何ができるだろう?こんなことができるかも?」という知恵や工夫を応答として返す双方的な関係を結ぼうとする呼びかけです。「知る」というのは「相手のため」と感じがちですが、金次郎は「知ることは自分自身を楽にし、幸せになるための作業である」と言っています。「なんで!」は否定的に考える時であり嫌な気分になり、自分も相手も傷つけ疲弊させるが、「なんで?」は私と相手に温かなものを生み出し私を楽にしてくれる。つまり、知ることで新しい景色が見えてきたり、気づきや知恵を生み出してくれるという金次郎からの素敵なメッセージであり、心の中に「なんで?」を常に持って人との関わり合いを大切にしていきたいと思いました。参考書籍:中桐万里子薯 『二宮金次郎に学ぶ生き方』知致出版社