ブックタイトル会報2019年8月

ページ
2/4

このページは 会報2019年8月 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

会報2019年8月

Page 2 第194号 令和元年8月発行臨床糖尿病支援ネットワーク令和元年5月23日から25日までの3日間、仙台市において第62回日本糖尿病学会学術集会が開催されました。今回のメインテーマは『DM4.0』。学会HPにおける今大会長のご挨拶の一部に、『糖尿病治療の目標である「健康な人と変わらない日常生活の質の維持、健康な人と変わらない寿命の確保」には、先進的医療などの分野でP4(Predictive予測的、Preventive予防的、Personalized個別化、Participatory参加型)という言葉が提唱されているように、次世代の糖尿病医療においては、個別化医療・精密医療が目指すかたちでもあります。このような気持ちを込めて、「DM4.0」とさせていただきました』とありました。このテーマに照らし合わせ、あるセミナー「低血糖を防ぐために知っておきたいこと」に参加して「P4」を考えてみました。1型糖尿病患者さんやインスリン自己分泌が枯渇している糖尿病患者さんにとって、低血糖への変化を予測・予防する方策を、CGMやFGMという先進機器で個別の状況が判る時代になりました。日常臨床では主にグルコーススパイクを知り、高血糖を抑える事の一方で、重症低血糖に着目し、可視化されたデータを基に、特に夜間の血糖トレンドに注目し個別的・具体的な療養指導が可能になる期待を感じました。それには、対象の糖尿病罹患歴や日中の活動習慣(日単位、週単位等細かく)、低血糖の自覚症状の有無をよく尋ね、知り伺うよりほかありません。そのうえで、夕食前のインスリン投与量の微調整や、就眠時頃に↓が表示されたらその時点で追加インスリンは絶対に打たない、低血糖の補正に消極的な方であれば、1gのブドウ糖での血糖上昇は5mg/dLであることを伝え、どのくらいの補充をするか等、個別化した実行可能なアドバイスに近づけると考えます。高齢者だけでなく、生産人口年齢層の健康寿命を担保する脇役を担える糖尿病療養指導士になりたいものです。また、本会では、東日本大震災で被災した仙台において開催するにあたり、日本糖尿病学会、アジア糖尿病学会、国際糖尿病連合西太平洋地区会議は、糖尿病の管理と自然災害に関する合同シンポジウムが開催されました。本合同シンポジウムの開催にあたり、日本糖尿病学会、アジア糖尿病学会、国際糖尿病連合西太平洋地区会議は、西太平洋地区のすべての糖尿病患者さんのために、震災に対する備えの重要性を積極的に普及啓発することを宣言します。当法人の取り組みでも災害対策を継続していますが、さらにブラッシュアップする好機とも捉えました。第62回日本糖尿病学会年次学術集会令和元年5月23日(木)~25日(土)仙台国際センター 他[当法人理事]武蔵野赤十字訪問看護ステーション豊島 麻美 [看護師]第62回日本糖尿病学会学術集会の発表は基礎研究、日常の関わりから大規模研究まで多岐にあふれており、興味深いものばかりです。また、今回はアジア糖尿病学会(AASD)との共催で、国際色が豊かな演題も多く見受けられました。いずれも示唆に富んだものばかりですが、独断と偏見でトピックスをご紹介いたします。本学会で多数報告されていた発表は、臨床現場で頭を悩ますことが多い、高齢者への糖尿病療養指導についてです。糖尿病療養指導にかかわる各職種から、糖尿病療養指導を行う上で注意すべき点や工夫などが、実体験を交えながら紹介されていました。共通していたことは、患者個々の状態を見極めて、個別の療養指導プランを立てることが重要である、ということでした。各職種が専門性を活かして治療プランを立てる必要に迫られますので、糖尿病療養指導士が活躍する舞台が増えるであろうと考えられます。また、本学会ではCDEJ療養指導セミナーが2コマで開催されました。ファシリテーターとして参加しましたが、全国から集まったメディカルスタッフが熱気に溢れたディスカッションを行っており、貴重な経験をすることができました。次回は滋賀、大津です。シンポジウムからディスカッションまで、幅広く経験できるプログラムが組まれています。皆さんもぜひ参加されてはいかがでしょうか。[当法人会員]北里大学 薬学部堀井 剛史 [薬剤師]