ブックタイトル会報2019年8月

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概要

会報2019年8月

第194号 令和元年8月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人理事]杏林大学医学部付属病院小林 庸子 [薬剤師]目の前の方が、将来糖尿病になるかも…“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 糖尿病腎症について正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります。)1.血清クレアチニンが2.0mg/dL以上の場合のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の使用は禁忌である2.腎性貧血は第2期(早期腎症期)より認めることが多い3.血清クレアチニンの上昇よりも尿中蛋白の増加がより早期に出現するのが特徴である4.持続的腹膜灌流(CAPD)では、カリウム制限は不要なことが多い5.第3期(顕性腎症期)の塩分制限は7g未満とする。「目が見えにくくなったのは歳のせいだと思っていました。これといった病気は、今までありません。」50歳台の女性、視力低下で眼科受診し、HbA1c13%にて糖尿病内科に紹介受診となる。インスリン自己注射の手技説明を開始。「そういえば、妊娠中に使ったかな…もう20年くらい前のことで、よく覚えていませんけどね。」糖尿病内科ではよくあるやり取りではないだろうか。約4年前に「産科病棟」の担当になり、病棟での糖尿病に関する業務は封印か、と思ったのは束の間、「切迫早産で入院中のAさんが、インスリン導入になりました。お願いします。」から始まった。分娩を終え「妊娠糖尿病だった」方々は、血糖値は正常となり、子供のことについて学び、退院される。最後に「チップはもうないし、これはいらないので置いていきます。」と血糖自己測定器を返却される。妊娠糖尿病の発症頻度は12.08%、また妊娠糖尿病の妊婦さんは耐糖能が正常の妊婦さんと比べて、将来、糖尿病になる確率は7.34倍であると報告されている。(日本糖尿病妊娠学会:糖尿病と妊娠に関するQ&Aより)産科病棟を退院の際、薬剤師業務である退院時の服薬指導の際に、「糖尿病発症予防のための健診のすすめ」に重点を置いている。しかしながら、病院勤務の薬剤師が実施可能な範囲はここまでである。この地域で何かできないか?そこで「薬剤師による既往歴妊娠糖尿病を考える会」が発足した。(「既往歴妊娠糖尿病」という言葉にご指摘もあるが、お許しいただきたい。)今まで3回の勉強会を開催し、予想に反して多くの職種の方々にご参加いただいた。驚いたことに、一般企業にお勤めの男性の方が、「今度、妊娠糖尿病に関するプロジェクトに関わるのですが、なかなか妊娠糖尿病を学ぶ機会が無くて」と参加してくださった。第1回では「妊娠糖尿病だった方が立ち寄るところに貼るポスターがあればよいのでは?」。第2回では「みなさんで一緒にポスターを作りましょう!」。第3回は「ポスターのお披露目」の会を開催した。毎回、前半は内科医師による「妊娠時の糖代謝異常」についてご講演いただき、知識も習得した。第4回の本会は、産婦人科の医師をお招きすることとなり、さらに知識を習得する機会をいただいた。(巻末のイベント情報を参照)皆様と一緒に作成したポスターを目にした方が、「そういえば…」と思ってくださることを願いたい。