ブックタイトル会報2019年7月

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概要

会報2019年7月

第193号 令和元年7月発行 Page 3臨床糖尿病支援ネットワーク2018年5月23日(木)から25日(土)、第62回日本糖尿病学会年次学術集会が仙台国際センターほか4会場で開催されました。今回の学会テーマは「DM4.0」でした。治療の3本柱(食事・運動・薬物)、三大合併症など3つのテーマでまとめることが多いですが、先進的医療分野で、P4(Predictive:予測的, Preventive: 予防的, Personalized:個別化, Participatory:参加型)という言葉が提唱されています。次世代治療の望ましい形が、「DM4.0」込められているとのことでした。シンポジウム“糖尿病における4Pを考える”の内容を簡単に紹介すると、Predictive:ゲノムワイドシークエンスにより日本人特有の2型糖尿病に関連する遺伝子多型が解明されている。ゲノム情報により糖尿病の発症や治療効果の予測の一助になる。Personalized:皮膚に貼付できる薄型センサー(5μm)の先端技術が紹介され、発汗も妨げず皮膚かぶれも少なく、心電図として実用可能なレベルにあるとのことです。将来的には遠隔医療などに応用できるとのことでした。Preventive: IBMワトソン(人工知能)が、ビッグデータをもとに医療分野で応用されている。海外では、すでに実臨床に活用されている。Participatory:日本糖尿病協会でのFacebook活動の報告など興味深いものでした。一方、患者参画に対して能動的から消極的な人いるのが実情であるとのことでした。ゲノム・診療データから治療法・その他疾患の存在などを教えてくれるAIが電子カルテに実装される時代が来れば、現在の医療が劇的に変化する可能性を感じ、わくわくする気持ちになりました。第62回日本糖尿病学会年次学術集会令和元年5月23日(木)~25日(土)仙台国際センター 他[当法人会員] 青梅市立総合病院足立 淳一郎 [医師]答え 2,3 下記の解説をよく読みましょう。 (問題は1ページにあります。)解説 肥満糖尿病において、しばしば肥満を解消するだけで血糖コントロールが改善する。しかし、極端な食事制限で急速に減量しても反動でまた増えることが少なくない(リバウンド)。そのため、緩やかな減量を図りゆっくり確実に下げることが大切である。1.〇 目標体重を設定し、25kcal/kg標準体重から出発し、体重変化を見ながら調節して行く。2.× 1か月に2㎏以内とする。3.× 1㎏当たり20Kcal以上摂取するようにする。ただし、上限は成人1日食事摂取基準の2000~2100Kcalとする。4.〇 低エネルギー食は原則として入院で行う。5.〇読んで単位を獲得しよう今回特に印象に残ったシンポジウム『高齢者糖尿病患者の療養指導』の『高齢者糖尿病の新しい食事療法』について報告します。近年、糖尿病人口の増加や糖尿病患者の高齢化も進み、独居の高齢者は20~25%と増加しており、「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」では、重度の腎機能障害がなければ十分なたんぱく質摂取(1.0~1.2g/㎏体重/日)を推奨し、骨格筋合成能力の低下している高齢者では、全体の摂取量だけではなく3食均等に食べることが骨格筋合成に重要とされています。本シンポジウムでの管理栄養士から、独居の高齢糖尿病患者の3日間の食事記録では、栄養摂取の割合は朝<昼<夕となっており、食事が簡素化されたんぱく質が少ないという問題が挙げられるため、栄養指導ではロイシン含有量の多い食品を使ったメニュー提案や朝食の強化がポイントなど、たんぱく質の質と量が重要との内容でした。私自身、高齢の方に栄養指導を行うことも多く、独居の方はやはり食事を簡素化していることが多いと感じます。そのような方でも無理なく行えるよう、その方の生活背景を理解することや近隣スーパーやコンビニの惣菜類を知り、利用方法や簡単な調理法等、具体的に提案していくことが食事の簡素化を防ぎ、サルコペニア予防につながると、改めて感じました。[当法人会員]武蔵野赤十字病院松野 さおり [管理栄養士]