ブックタイトル会報2019年6月193号

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概要

会報2019年6月193号

第192号 令和元年6月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 糖尿病の周術期治療において正しいのはどれか、2つ選べ。1.高血糖状態が遷延すると感染リスクが高まる2.血糖コントロールが不良な例ではHbA1c 7%未満になるまで手術を延期する3.5%ブドウ糖液500mlに中間型インスリン5単位を混注した4.周術期にインスリンを用いた場合は、術後食事が再開しても内服薬に戻すことはしない5.術後の食事摂取量が不安定であるため、超速効型インスリンを食直後に投与した[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター深谷 祥子 [管理栄養士]ご存知でしたか?塩分のとりすぎは喫煙よりも危険なのです!喫煙は身体に悪影響を及ぼすということは周知の事実でありますが、その喫煙よりも死亡リスクを高めるのが不適切な食習慣であり、それにより世界で毎年1100万人が寿命より早く亡くなり、それは5人に1人に相当するという世界の疾病負担研究(GBD)からの報告1)がありました。世界195ケ国・地域で1990年~2017年までの死因などに関するデータから食習慣の健康に関する影響について調査分析された結果、不適切な食習慣の原因による死亡は全死因の22%であり、塩分の過剰摂取により300万人、全粒穀物の過少摂取で300万人、果物の過少摂取で200万人が死亡しており、喫煙を含む他のどのリスクより高い死因となっていたそうです。今回は不適切な食習慣の中でも一番リスクが高かった塩分について触れてみたいと思います。日本人の塩分摂取は平成29年度の国民栄養調査では9.9gでした。実際には国民栄養調査よりも多く摂取しているのではないかと思っています。なぜなら、国民調査は強制力がなく協力する方のバイアスがかかることと、食事調査は被調査者が世帯ごとに摂取した食品を1日秤量記録し、その食品を家族でどう分けたか記入する方式なので、日常でない優等生的な回答をしている可能性があるからです。24時間蓄尿を用いた全国調査2)の2013年の調査結果では平均ナトリウム排泄量(食塩相当量)は男性12.1g、女性10.2gという報告もあり、こちらの方がまだ実際に即しているのではないでしょうか。それに対し塩分の目標量は、世界的には世界保健機構(WHO)は1日5g未満を指針としていますが、日本においては日本高血圧学会が1日6g未満、日本人の食事摂取基準2020年度版では成人男性7.5g未満、女性6.5g未満となります。減塩、減塩と言ってはいてもやっぱり塩分の多い物は食欲をそそりますし、ラーメン1杯を汁まで飲んでしまうと、WHO指針を軽くオーバーしてしまいます。糖尿病患者さんも高齢化してきており長年親しんだ舌を変化させるのはとても困難です。緩やかに減塩するという方法をお勧めしていましたが、最近思うことは、入院した当初は「こんな食事は○○も食わない」と不平不満を言われていた患者さんが、2~3週間すると「最近味が変わった。調理師が変わったのか」など言われることが結構あり、塩分の閾値を下げるには一定の期間武者修行?的に行うのも一策なのかもしれません…。さて、前述のGBDの報告によると、塩分を減らし、全粒穀物・果物・ナッツ・種子・野菜を多くとることが健康的な食生活を促進できるとされています。糖尿病の患者さんですと果物・ナッツ・種子類は摂りすぎには注意が必要ではありますが、令和元年という節目の年に食生活の改善に取り入れやすいことから始めてみるようにお伝えするのはいかがでしょうか。1)Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990?2017: a systematic analy-sis for the Global Burden of Disease Study 2017(Lancet 2019年4月3日)2)#18206. Asakura K, Uechi K, Sasaki Y, Masayasu S, Sasaki S. Estimation of sodium and potassium intakes assessed by two 24h urine collections in healthy Japanese adults: a nationwide study. Br J Nutr 2014; 112(7): 1195-205.(答えは7ページにあります。)