ブックタイトル2019年3月号

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概要

2019年3月号

第189号 平成31年3月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人理事]すずき糖尿病内科クリニック和田 幹子 [看護師]療養支援の基本は『聴き上手』になること…“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 サルコペニア、フレイルについて正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります。)1.フレイルとは、加齢とともに生じる骨格筋の質的・量的低下のことである2.サルコペニアとは、高齢になり筋力・活力が衰え身体予備能力が低下した状態である3.サルコペニアやフレイルの予防と治療は食事・運動を中心とした生活習慣の改善である4.サルコペニアは耐糖能を低下させる5.フレイルはうつなどの精神障害とは関与しないここ数年、アドラー心理学について学んでいます。アドラーは、同時代のフロイトやユングとともに臨床心理の基礎を築いた人で、人間性心理学を説くことで自己実現を目指す人間の性質を明らかにしようとしました。フロイトやユングと比べ、知名度は低いかもしれませんが、数年前「嫌われる勇気」という書籍がベストセラーとなり、ドラマにもなったことで一気に注目を集めました。『自分と周囲の人へ勇気を与える心理学』を広め、「人を動かす」のカーネギーや「欲求段階説」を提唱したマズローに影響を与えた人でもあります。私自身、糖尿病療養指導士として活動していても、行動変容モデル(維持期)の介入にある「患者さんを褒める」ということに違和感がありました。理由は「褒める」ことに上下的な意味を感じること。受け手が「褒められる」ことで心地良い感覚があったとしたら、その感覚を得ることが目的となってしまうのではないか…という疑問もありました。そこで、別の視点から療養支援について考えてみようと思い「勇気づけの心理学」であるアドラー心理学を学び始めました。勇気づけとは、①困難を克服する活力を与えること、②褒めることでも激励することでもない、③落ち込んでいる人を力づけるだけでなく、元気な人をより元気にすることもできる、④自分自身を力づけることもできる、⑤「尊敬」「信頼」「共感」をベースに、人との関係を築いていくこと、と定義されています。30年前、私が看護師の資格を取る前に、看護学校で「看護観」(看護師となる自分の哲学のようなもの)を書いた時、そこに「患者さんが勇気を持てるような看護をしたい」と書いた記憶があります。当時は、教員に「患者さんは勇気がない人という前提?失礼では?」等色々と指導を受けたのですが、様々な心理学や行動・学習理論を学んでからも、自分の看護の根底にはいつも「勇気」という言葉がありました。「勇気づけ」を行うためにはアドラー心理学の知識と技術が必要なのですが、先ずは『聴き上手』になることが大切と言われています。自戒を込めて述べると、電子カルテの操作に一生懸命なあまり、患者さんときちんと向き合わないままに療養支援が展開されてしまうことがあるように思います。そこで、聴き上手になるには、一昨年の1群研修会(西東京教育看護研修会)で金沢大学の稲垣美智子先生に教えて頂いた「あ(相手の顔をみて聴く)・い(一生懸命聴く)・う(頷きながら聴く)・え(笑顔で聴く)・お(おしまいまで聴く)」がしっくりきます。聴き上手になるための「あ・い・う・え・お」を意識して実践し、自分も患者さんも勇気が持てるような療養支援の技をしっかり磨きたいと思っています。