ブックタイトル2019年2月号

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概要

2019年2月号

第188号 平成31年2月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)[当法人評議員]武蔵野赤十字病院杉山 徹 [医師]糖尿病の包括的リスク管理について問題 糖尿病の診断において正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります。)1.糖尿病網膜症が存在すれば「糖尿病型」である2.早朝空腹時血糖値 130mg/dLは「糖尿病型」である3.随時血糖値 180mg/dLは「糖尿病型」である4.HbA1c 6.4%は「境界型」である5.75gOGTT 負荷後2時間血糖値 160mg/dLは「境界型」である糖尿病治療の目標が合併症の発症・進展の阻止を通じた健常者と変わらないQOLの維持と寿命の確保であることはご周知の通りだと思います。その最も有効な手段は、血糖だけでなく血圧、脂質、体重などを理想的な値にまんべんなく治療する「包括的リスク管理」と考えられています。2017年に結果が発表された本邦の大規模臨床試験であるJ-DOIT3でも血糖・血圧・脂質の統合的な治療により血管合併症がより抑えられたことが示されました。本邦における最新の高血圧ガイドラインや脂質異常症診療ガイドでも糖尿病患者の血圧管理目標が非糖尿病患者よりも厳しい数値であることは変わっていません。これらの包括的リスク管理のおかげか2016年に発表された日本人糖尿病の死因では、2001?2010年での虚血性心疾患や脳血管障害は一般日本人よりもむしろ少なくなっています。糖尿病患者の大血管障害による死亡は既に克服されてきていると言っても良いのかもしれません。その代わりに増えているのは悪性新生物(癌)と感染症です。また、大血管障害による死亡は減ったと言っても、心不全に関しては糖尿病との併存頻度が現在も高く、糖尿病と心不全が相互にリスク因子であり、併存患者は心不全単独患者よりも重症度と死亡率が高いことが示されています。さらに、高齢者の糖尿病になると、認知症やフレイルなど老年症候群にも注意しなくてはなりません。このように、一人の糖尿病患者さんを診療するのには血糖・血圧・脂質・体重のみならず数多くのリスクを考慮しながらそれぞれの発症や進展を防止することを念頭に置き続けなければならないわけですが、すべての患者さんにおいて癌や心不全や認知症などのスクリーニングが行き届いているか、なかなか自信を持って言うのは難しいかもしれません。ただ、それをしっかりやるのが糖尿病診療に携わる我々の使命だと思い、私なりのチェック表を作ってみました。ご指摘や不十分な点もあるかもしれませんが、医療スタッフの皆様もご参考にしていただければ幸いです。糖尿病の包括的リスク管理のためのチェックポイント生活:適切な食事と運動の継続血糖:血糖変動小さく、低血糖を起こさないHbA1c:個々の症例にて目標設定薬剤選択:体重増加・低血糖・インスリン過剰を起こさない血圧:130/80 mmHg未満脂質:(一次予防)LDL<120, HDL>40, TG<150, non-HDL<150(二次予防)LDL<70, HDL>40, TG<150, non-HDL<100体重:BMI 22を目安(少なくとも肥満を解消)網膜症:定期的に眼科受診腎症・CKD(DKD):定期的に尿アルブミン(尿蛋白)、Cre、eGFR測定神経障害:定期的に自覚症状・他覚所見チェック足病変:フットケア指導、なるべく毎回足をチェック大血管障害:年1回頸動脈エコー、ABI、baPWV、(運動負荷)心電図心不全:年1回心エコー検査癌:定期的に貧血チェック、年1回CEA,、CA19-9、(CA-125(女性))、 便潜血、腹部エコー、胸部レントゲンをチェックNAFLD/NASH:年1回腹部エコー、FIB4 index、M2BPGiなど歯周病:マウスケア指導、定期的に歯科受診骨折:年1回骨密度検査(ただし骨質は評価困難)認知症:毎回、診察時受け答え、残薬数、家族からの情報など確認 必要に応じてMMSE、長谷川式など検査サルコペニア:毎回、診察室の入退室時の動きなど確認必要に応じて歩行速度・握力測定