ブックタイトル2019年1月号

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概要

2019年1月号

第187号 平成31年1月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 糖尿病腎症の病期と適切な運動について誤っているのはどれか、1つ選べ。1.第1期 - 原則として糖尿病の運動療法2.第2期 ― 原則として糖尿病の運動療法3.第3期 ― 原則として糖尿病の運動療法4.第4期 ― 原則として運動可。ただし病態によりその程度を調節する5.第5期 ― 原則として運動可。ただし病態によりその程度を調節する[当法人監事]伊藤内科小児科クリニック伊藤 眞一 [医師]治療中断させないことと絶えずガンを念頭に診療糖尿病専門クリニックを開設して38年が経過した。この38年漫然と糖尿病診療していると「ひゃーとする体験、ハッとする体験」を数限りなく味わってきた。こんなことではいけないと反省。まず臨床研究をし、診療にメリハリをつけることにした。「治療中断が合併症発現における最大の危険因子」という糖尿病の大先輩のアドバイスを思い出し、その実態を当クリニックのデータで調べることとした。20年間一度も治療中断したことがなく、ずっと20年間血糖コントロール状態を把握できた155症例で、血糖コントロールと糖尿病網膜症発現の関係を調査してみると、両者にはきれいな相関関係を証明でき、DCCT、UKPDS、熊本スタディのこの点に関した大規模臨床試験と同様の結果をこんな小さなクリニックでも得た事にはひとつの感動があった。次に治療中断と合併症の関係に関する文献を検索してみた。しかし治療中断の定義が一定しないこと、治療中断した患者が他院に転院したり、その後全く医療機関を受診しなかったりしてしまうと、その後の合併症の確認は全く不可能などのことから大規模臨床試験をはじめとして、まとまった報告は見当たらない。そこで罹病20年の糖尿病患者の中で、この10年当クリニックに定期通院している253名の治療中断あり、なしで糖尿病網膜症発現を比較してみた。予想通り治療中断があるグループで、網膜症が有意に多いことが確認できた。やはり大先輩のおっしゃることは正しかった。両研究ともペーパーに残したので、今後後輩の先生方の研究に少しでも参考になれば筆者にとって望外の喜びである。日本糖尿病学会は2016年に10年ぶりに2001年~2010年45000例の死因調査を発表した。先生方はご存知のように、その発表の参加施設は大規模病院が中心であるので筆者のクリニックのような開業医療施設は含まれていないので幾分不満もある。この死因について当法人が全国レベルから見て唯一実践な組織と筆者は考えているので是非検討していただけないだろうか。今回の研究での成績は、会員の方々はご存知のように一位ガン、二位感染症、三位は血管障害となっている。一般的な日本人の死因は一位ガン、二位心疾患、三位脳血管疾患、四位老衰、五位肺炎である。何れにしても一位のガンは明らかである。日本人の場合一般的に生涯二人に一人ガンに罹患し三人に一人亡くなるというのが常識になっているが、私たちは糖尿病管理ばかり気になって死因一位のガンの診断を怠っていないだろうか。確かに市町村のガン検診、企業のガン検診、一般的な人間ドックを上手に利用していただくのは効率的で現段階のガン対策としては、最善の方法であろう。胸部X-P、便潜血、腫瘍マーカー(保険的には多少問題はあるが)は毎年チェックしている筆者である。(答えは7ページにあります。)