ブックタイトル2019年1月号

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概要

2019年1月号

第186号 平成30年12月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)[当法人理事]東京都立多摩総合医療センター西田 賢司 [医師]「人生100年時代」と「シンギュラリティ」問題 低血糖時の交感神経症状として正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは3ページにあります。)1.冷汗2.徐脈3.頭痛4.不安感5.空腹感突然ですが、皆さんは“シンギュラリティ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。“人工知能が人間を超える特異点”と言われることも多いようですが、元は米国のレイ・カーツワイルが2005年に出した“The Singularity Is Near”(邦題『ポスト・ヒューマン誕生』)でその概念を提唱したものです。最近その邦訳のエッセンス版(『シンギュラリティは近い』)を読んだのですが、その中でいずれ人類はナノボットというものによって人体改造が行われ、年を取ることもなくなるようなことが描かれており、それ以外にもちょっとぎょっとする内容もあります。それが実現するかどうかはともかく、最近外来で80歳、90歳の人がめっきり増えました。今の病院に赴任して現在23年目、当時60代の方は80代に、70代の方は90代になるのは考えてみれば当たり前です。一方、最近の患者さんは昔に比べて10歳は若いのではないかと感じることも多く、今の70歳は昔の60歳、今の90歳は昔の80歳といった感じです。70代ですとまだまだ働いているという方も少なくありません。ただやはりご高齢になれば動作も遅くなり、耳も遠くなり、体力も落ちるなどは避けられません。個人差もかなりありますが、糖尿病の治療についてもそれまでできていたことができなくなる方が増えてきます。できることをいかして療養することを考えなくてはなりませんが、「人生100年時代」、90歳の方にも日野原先生の105歳を引き合いに出して、「あと15年ですね」と申し上げると、「いやあそんなには生きられないよ」とおっしゃりながらまんざらでもない感じです。やはり105歳まで合併症なしで切り抜けていただきたいものです。さて、逆に目を転じてみると、かつての若手(?)患者さんは社会の中堅となっています。何人かの20代の患者さんはすでに40代半ば。1型糖尿病の患者さんが多いです。当時はまだ学生さんだった人や社会に出たばかりの若手で現場でバリバリやっていた方が、結婚して子供さんもいたり、職場では管理仕事が増えて動く時間が減ったりで、20代、30代はとてもコントロールが良かったのに現在はなかなか血糖が下がりにくくなり苦労していたり。人生の折り返しまでまだある患者さんたちですが、フラッシュグルコースモニタリング装置、最近の新しいポンプなどを導入しながら、合併症を抑えつつ社会での活躍をしていただき、できるだけ健康で長生きしていただくべくサポートが必要です。そして最後に最近の初診の患者さん、どうも同年代の人が多いです。自分自身も10年ほど前にメタボになり(かかり)、このままでは患者さんへの指導ができないと一念発起して体重を減らしたわけで他人事ではありません。実際にはなかなか生活習慣を変えられない方も多く、残念ながら糖尿病を指摘されて医療機関へということになります。定年が延びつつあってまだまだ働かなければならない我々世代にとっては、糖尿病の療養は難しいことも多いのですが、動脈硬化症も多くなるこの年代、人生まだまだ半分近く残っているということで、それを見据えた療養指導が求められます。いずれは「シンギュラリティ」が来るかもしれませんが、それまでの間は糖尿病の患者さんにも「人生100年時代」を充実したものにしていただくために、これからますます多職種の療養指導が求められることになるかと思います。皆様と一緒に考え、活動していくことができれば幸いです。来年もよろしくお願い申し上げます。